仕事と介護の両立を応援するブログ

これから介護世代が増える中、育児や仕事と両立していく子供世代も増加します。いまそのような状況になっている方・これから可能性のある方に向けて、介護とはどのようなことなのかをわかりやすくお伝えできればと思います。

要介護5とはどんな状態?受けられるサービスをわかりやすく解説

要介護5とは、日常生活全般を介護なしには生活できないだけでなく、寝たきりや経管栄養・酸素吸入が必要など、高度な介助が必要となる状態です。
多くの場合で、認知能力の低下もみられるため、意思疎通が難しい場合もあります。

今回は、要介護5とはどんな状態なのか、要介護4との違いについて、説明したいと思います。

また、要介護5の方が利用できる介護保険サービスについても、わかりやすく解説します。特に在宅介護を進められる方は、今後の介護の参考にしていただけたらと思います。

1. 要介護5とはどんな状態か

要介護5とは、食事や排泄、入浴などの日常生活を自力では全く行えず、介護が常に必要な状態です。

具体的には、要介護5状態では、寝たきりの方が多く、意思疎通をとることも困難な場合も多くなります。

食事も、ご飯を噛んで飲み込む動作が難しくなり、胃へチューブにより栄養を送ったり、流動食を必要とするようになります。

2.要介護ってどうやって決まるの?

要介護認定の流れ

要介護認定の申請は、市区町村に申請書類などを提出した後、調査員が自宅へ訪問し、本人の状態を確認します。確認した内容について、コンピュータにより一次判定が決まります。

一次判定が確定後、福祉や保健の専門家による介護認定審査会と主治医の意見書を照らし合わせて、二次判定が行われます。

一次判定と二次判定を合わせて、本人に適切な介護認定が決まります。

要介護認定の基準

要介護認定の基準としては、1日あたり介護にかかる時間を具体的に表された「要介護認定等基準時間」が用いられます。 

要介護認定等基準時間の段階とは

具体的な要介護認定等基準時間の段階は、要支援1の場合で、25分以上32分未満、要支援2では、32分以上50分未満となります。

要介護認定になると、要介護1の場合は、32分以上50分未満です。これは、要支援と時間的には同じになります。

要介護2では、50分以上70分未満、要介護3では、70分以上90分未満、要介護4では90分以上110分未満、要介護5は110分以上です。


3. 要介護5と要介護4の違い

要介護4では、自力での歩行や立ち上がりが難しくなってきており、車椅子生活やベッドでの生活が増えてきている状態です。日常生活全般において、介護が必要となりますが、部分的に自分のやりたいことが少しできることもあります。

要介護5では、寝たきりで、意思疎通をとることも困難になっているケースが多くなります。身の回り全般での介護が必要なうえに、床ずれや食事の嚥下にも、細心の注意が必要となります。

4. 要介護5で気をつけるべき嚥下と床ずれ

嚥下困難とは

要介護5になると、食べ物を食べた後、噛むことや飲み込む力が弱くなってきます。そのため、本来は、胃に落ちていくはずの食べ物が、肺へ謝って落ちてしまうことがあります。

肺へ落ちた食べ物が腐敗し、誤嚥性肺炎などの肺炎の原因となります。

高齢になると、咳や熱がでる体力もなくなることもあるため、肺炎に気づかず命を落としてしまうケースもあります。

床ずれとは

寝たきり生活が続くと、同じ体勢で長時間にいるために床ずれを起こしてしまうことがあります。これは、血流が滞ってしまうことが原因です。

床ずれを放置してしまうと、そこから細菌が入ってしまったり、骨まで進んでしまうこともあります。体位変換をするとともに、炎症や軽症の状態から、塗り薬などの治療を始めることが大切です。

5. 要介護5で受けることのできる介護サービス

要介護5では、寝たきりの場合、体位変換や食事・排泄の処理など、家族の負担がかなり高くなります。安定している方は、在宅介護を続けられる方も多いですが、24時間介護サービスを受けることのできる施設への入居をする方も増えます。

利用できる在宅介護サービス一覧

利用できる在宅介護サービスは、以下の通りです。

【自宅に来てくれる介護サービス】

✳︎訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護
✳︎訪問リハビリテーション
✳︎夜間対応型訪問介護
✳︎居宅療養管理指導
✳︎定期巡回・随時対応型訪問介護看護

【通って受ける介護サービス】

✳︎デイサービス
✳︎通所リハビリテーション
✳︎地域密着型通所介護
✳︎認知症対応型デイサービス

【訪問・通所・短期入所の複合型】

✳︎小規模多機能型居宅介護
✳︎看護小規模多機能型居宅介護

【宿泊型の介護サービス】

✳︎ショートステイ
✳︎医療型ショートステイ

デイサービスや訪問介護の頻度は?

要介護5では、デイサービスやデイケアの頻度がほぼなくなり、訪問介護主体になってきます。また、夜間の訪問介護を必要とする方も多くなります。

要介護5の方の具体的な1週間の例としては、
1日あたり1〜3回の訪問介護と、1週間に1度の訪問リハビリです。

他にも、夜10時から朝6時までの夜間対応訪問介護を組み合わせることもできます。
夜間対応訪問介護を利用することで、夜間の排泄介助や体位変換をしてくれるので、家族が休む時間も作れます。

また、通所サービスであるデイサービスなどの頻度が減るため、訪問入浴を週1から2回利用することもできます。

要介護5では、介護する家族の負担が一気に増加

要介護5では、排泄や入浴、食事に介護が必要となるだけではなく、胃ろうや酸素吸入などの管理が必要となる方も多くなります。

そのため、昼夜問わず、家族が24時間介護をする必要が出てきます。介護保険訪問介護では、一回あたりの訪問時間が2時間以内程度なので、そのほかの時間は家族の介護が必要です。

要介護5になると、在宅介護が難しいと判断されるため、特別養護老人ホーム優先入居しやすくなります。
特別養護老人ホームでは、プロにより、24時間介護が受けられます。さらに、公的機関なので月額費用も介護保険を利用できるため比較的安価な金額で利用することができます。

✳︎ ︎特別養護老人ホームと有料老人ホームの違いとは

最近では、有料老人ホームも初期費用不要で入居可能な施設や、医療に特化していて、看取りやターミナルケアを行っているところも増えています。まずは、近くの施設を探したり、資料請求をして、選択肢を広げてみるのも良いかと思います。

まずは資料請求をしてみましょう

要介護5で入居可能な施設とは

✳︎介護付き有料老人ホーム
✳︎住宅型有料老人ホーム
✳︎サービス付き高齢者向け住宅
✳︎認知症対応型共同生活介護グループホーム
✳︎特別養護老人ホーム(特養)
✳︎軽費老人ホーム(ケアハウス)※条件あり
✳︎介護老人保健施設老健
✳︎養護老人ホーム※条件あり
✳︎介護医療院
✳︎地域密着型特別養護老人ホーム
✳︎地域密着型特定施設入居者生活介護


6. 要介護5で受けれる介護保険限度額

要介護5認定の介護保険サービス利用限度額は、【1ヵ月あたり1ヵ月あたり36万2,170円】です(2021年1月現在)

介護保険サービスの利用限度額は、使った分だけ負担割合に応じて支払いが発生します。
例えば、1割負担の方が、利用限度額まで使った場合、1ヶ月あたり、 3万6,217円支払う必要があります。

もし、3割負担の方であれば、上限まで利用した場合には、1月あたり10万円を超えた金額が自己負担となってしまいます。
1ヶ月あたり、介護金額が高額となった場合は、高額介護サービス費制度を利用することで、返金されます。

高額介護サービス費制度とは

1ヶ月あたりの介護保険サービス利用による支払いが、所得に応じて、決められた基準を超えた場合には、高額介護サービス費制度を利用することができます。

高額介護サービス費制度では、基準を超えた金額が自治体から払い戻される仕組みになっています。1ヶ月あたりの支払い限度基準は、個々の所得によりますが、 1番高くても、1世帯あたり4万4,400円となっています。

高額介護サービス費制度は、負担割合が高い人にはとても助かる制度となります。基準額を超えて払い戻しがある場合には、自治体から通知が届きますので、そちらに沿って申請しましょう。

7. 住宅改修の補助金について

要介護・要支援認定を受け、在宅介護をしている場合は、住宅改修の補助金を受けることができます。

介護保険証の住所になっている自宅の改修を、最大20万円まで1回のみ利用することができます。

手すりやスロープなどの介護に必要なリフォームは、早めに行いましょう。
✳︎住宅改修をくわしく解説

8. 要介護5でレンタル・購入できる福祉用具は?


要介護5でレンタルできる福祉用具

✳︎歩行器
✳︎歩行補助杖(松葉杖や多点杖など)
✳︎手すり
✳︎スロープ
✳︎車いす
✳︎車いす付属品
✳︎特殊寝台(介護用ベッド)
✳︎特殊寝台付属品
✳︎床ずれ防止用具
✳︎体位変換
✳︎認知症老人徘徊感知機器
✳︎移動用リフト
✳︎自動排泄処理装置(排便機能付き)

要介護5では、寝たきり生活を想定した上で、介護保険で認められている全ての福祉用具をレンタルすることが可能です。

✳︎福祉用具はレンタル?購入?どちらがお得?

9. 要介護5は、重度訪問介護を受けられる場合も

要介護5では、介護保険による訪問介護や、夜間対応介護も受けることができ、手厚いサービスを利用できます。

しかし、24時間介護が必要な状態であるにもかかわらず、訪問介護は1回1〜2時間程度のため、家族への負担が非常に大きくなります。

そんなときには、障害者区分4以上と認められた場合に利用出来る重度訪問介護がとても助かります。

障害者区分4以上の条件とは

障害者区分4以上は、以下の通りに定められています。

1.障害者区分4以上の四肢不自由者または知的障害者精神障害者であること

2.二肢以上に麻痺等があること

3.障害程度区分の認定調査項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「できる」以外と認定されていること

重度訪問介護とは

重度訪問介護とは、障害者保険サービスの1つで、 24時間体勢で訪問介護を受けることができる仕組みです。

具体的には、 8時間おきにヘルパーが交代で訪問し、体位変換などを行ってくれます。

要介護5・障害者区分4以上と認められれば、家族の負担も軽減しつつ、在宅介護を継続することができます。

重度訪問介護サービスとは?介護保険と併用できる?

まとめ

要介護5では、在宅介護は難しいのではないかと思われがちですが、在宅介護を続けられている方も多くいらっしゃいます。

昼夜問わず目を離せないため、ご家族の負担は増えてしまいますが、利用できるサービスを組み合わせることで、負担軽減にもつながります。

一方で、介護のしすぎで体調を崩してしまうご家族も多いので、介護で睡眠が十分取れないなどが続く場合には、施設の入居や短期入所を利用して、体の負担を下げてください。