要介護4では、入浴や排泄などの日常生活全てにおいて、介護が必要な状態です。
在宅介護をされているご家族は、昼夜を問わず介護や見守りが必要となるため、施設の入居を検討される方も多くなります。
また、受けられる介護サービスの頻度も高くなり、1日で2〜3回の介護サービスを組み合わせることもできるようになります。
今回は、要介護4とはどんな状態なのか、要介護3や要介護5との具体的な比較について説明していきます。
また、要介護4で受けられるサービスや費用を抑える方法についてもわかりやすくお伝えしたいと思います。
- 1. 要介護4とはどんな状態か
- 2.要介護ってどうやって決まるの?
- 3. 要介護3と要介護4の違いは?
- 4. 要介護5と要介護4の違い
- 5.要介護4で受けることのできる介護サービス
- 6. 要介護4で受けれる介護保険限度額
- 7. 住宅改修の補助金について
- 8. 要介護4でレンタル・購入できる福祉用具は?
- 9. 要介護4は、障害者認定される場合も
- まとめ
1. 要介護4とはどんな状態か
要介護4とは、日常生活全てにおいて、介護なしには生活ができない状態です。
例えば、入浴や排泄・食事が全て介護を必要とするため、自力で行うことができなくなってきます。
認知症においては、不潔行為や徘徊、誤食、妄想などが頻繁に起こるようになり、意思疎通をとるのが難しくなってきている状態です。
2.要介護ってどうやって決まるの?
要介護認定の流れ
市区町村に申請書類などを提出後、訪問調査員が自宅を訪れます。決められたチェック項目をもとに、本人の状態を確認し、その後コンピュータによる一次判定が行われます。
一次判定の結果と主治医の意見書を照らし合わせながら、福祉や保健の専門家たちによる介護認定審査会により、適切な介護認定が決定します。(二次判定)
要介護認定の基準
要介護認定の基準とは、厚生労働省が決めている1日あたり介護の手間を時間換算した「要介護認定等基準時間」が用いられます。
要介護認定等基準時間の段階とは
具体的な要介護認定等基準時間の段階は、要支援1の場合で、25分以上32分未満、要支援2では、32分以上50分未満となります。
要介護認定になると、要介護1の場合は、32分以上50分未満です。これは、要支援と時間的には同じになります。
要介護2では、50分以上70分未満、要介護3では、70分以上90分未満、要介護4では90分以上110分未満、要介護5は110分以上です。
3. 要介護3と要介護4の違いは?
要介護3と要介護4共に、日常生活のほぼすべてにおいて介護が必要な状態です。
しかし、要介護4になると、認知能力の低下も強く見られるため、意思疎通が難しくなるケースも多くなります。要介護3と4の大きな違いは、認知能力低下と介助の頻度といえます。
また、要介護3では、杖を利用していた人も、要介護4になると車椅子やベッドでの生活が主体になってきます。身体的にも、自分でできることが少なくなってきてしまいます。
4. 要介護5と要介護4の違い
要介護5は、最も重度な介護状態を表します。日常生活のすべてを介護が必要となっている部分では、要介護4と同じです。
しかし、要介護4では、見守りや介助をすれば、自分のやりたいと思うことが少しできることもありますが、要介護5では意思疎通が全くできない・もしくは、寝たきり状態になってしまうことがほとんどです。
5.要介護4で受けることのできる介護サービス
要介護4では、在宅介護サービスと施設サービスを受けることができます。要介護4になると、家族の介護への負担が増えるため、ケアマネージャーからも施設の入居を強く勧められるケースもあります。
利用できる在宅介護サービス一覧
利用できる在宅介護サービスは、以下の通りです。
【自宅に来てくれる介護サービス】
✳︎訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護
✳︎訪問リハビリテーション
✳︎夜間対応型訪問介護
✳︎居宅療養管理指導
✳︎定期巡回・随時対応型訪問介護看護
【通って受ける介護サービス】
✳︎デイサービス
✳︎通所リハビリテーション
✳︎地域密着型通所介護
✳︎認知症対応型デイサービス
【訪問・通所・短期入所の複合型】
✳︎小規模多機能型居宅介護
✳︎看護小規模多機能型居宅介護
【宿泊型の介護サービス】
デイサービスや訪問介護の頻度は?
要介護4では、デイサービスやデイケアの頻度が減り、訪問介護主体になってきます。ケアプランに基づいて、介護保険サービスが行われますので、ケアマネージャーとよく話し合って最適なケアプランを作成してもらいましょう。
要介護4の方の具体的な1週間の例としては、
午前中週6回の訪問介護とデイサービス1回、午後週7〜9回の訪問介護です。(午後は、2回に分けて訪問介護に来てもらう日があるという意味)
他にも、血圧や体調変化を確認してくれる訪問看護を週1回追加することもできます。
訪問介護は、滞在時間が限られてしまうため、同じ日の午後でも2回来てもらうこともできます。
要介護4は、特別養護老人ホームを考える方も増えます
要介護3以上から入居できる特別養護老人ホームですが、介護の度合いと緊急性を考慮して入渠の順番も決まります。
要介護4になると、在宅での介護も家族負担が増えるため、特別養護老人ホームやその他の施設への入居も考える方が多くなります。
特に、公共施設である特別養護老人ホームは、初期費用も無料で、月額費用も介護保険が適応されます。
また、 24時間プロによる適切な介護を受けることができるので、介護の面でも安心して入居することができるのです。
最近では、有料老人ホームも初期費用不要で入居可能な施設や、クリニックや病院と提携していて、医療面に特化している施設など様々なサービスがあります。
まずは資料請求をしてどんな施設があるのかを、あらかじめリサーチしておくことも大切です。
要介護4で入居可能な施設とは
✳︎介護付き有料老人ホーム
✳︎住宅型有料老人ホーム
✳︎サービス付き高齢者向け住宅
✳︎認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
✳︎特別養護老人ホーム(特養)
✳︎軽費老人ホーム(ケアハウス)※条件あり
✳︎介護老人保健施設(老健)
✳︎養護老人ホーム※条件あり
✳︎介護医療院
✳︎地域密着型特別養護老人ホーム
✳︎地域密着型特定施設入居者生活介護
要介護4認定では、介護を配慮した施設はほぼすべて入居することができます。
有料老人ホームやサービス付き高齢者住宅ならば、看取りやターミナルケアを行なっていて、終身利用できる施設を探すことをお勧めします。
6. 要介護4で受けれる介護保険限度額
要介護4認定の介護保険サービス利用限度額は、【1ヵ月あたり1ヵ月あたり30万9,380円】です(2021年1月現在)
要介護4では、1日に2〜3回(訪問介護2回・夜間訪問1回など)の介護保険サービスを利用することも珍しくありません。
介護保険サービスを利用した分だけ、負担割合に応じて支払いが発生します。例えば、1割負担の方が、利用限度額まで使った場合、1ヶ月あたり、 3万938円支払う必要があります。
負担割合が増えると、支払う金額も上がってしまいます。例えば、3割負担の方で、上限まで利用した場合には、1月あたり9万2,814円が自己負担となってしまいます。
その場合は、高額介護サービス費制度を利用することで、返金されます。
高額介護サービス費制度とは
1ヶ月あたりの介護保険サービス利用による支払いが、基準を超えた場合には、高額介護サービス費制度を利用することができます。
これは、本人の所得により基準額が決まっており、支払額が基準額を超えた場合に適応されます。支払いの基準額は、1番高くても、1世帯あたり4万4,400円ですので、それ以上かかった場合には、自治体から払い戻されます。
高額介護サービス費制度は、負担割合が高い人にはとても助かる制度となります。基準額を超えて払い戻しがある場合には、自治体から通知が届きますので、そちらに沿って申請しましょう。
7. 住宅改修の補助金について
要介護・要支援認定を受けると、介護保険証に載っている住所について1回のみですが、住宅改修補助金を受け取ることができます。
住宅改修の補助金は、上限20万円までとなっており、在宅介護をしていることが必須条件です。
スロープや手すりなど、生活に必要な改修は、補助金を利用して早めに行うことをお勧めします。
8. 要介護4でレンタル・購入できる福祉用具は?
要介護3認定を受けると、排泄を介護するための自動排泄処理装置もレンタル可能となります。
要介護4でレンタルできる福祉用具
✳︎歩行器
✳︎歩行補助杖(松葉杖や多点杖など)
✳︎手すり
✳︎スロープ
✳︎車いす
✳︎車いす付属品
✳︎特殊寝台(介護用ベッド)
✳︎特殊寝台付属品
✳︎床ずれ防止用具
✳︎体位変換器
✳︎認知症老人徘徊感知機器
✳︎移動用リフト
✳︎自動排泄処理装置(排便機能付き)
9. 要介護4は、障害者認定される場合も
要介護4では、常に介護を必要とするため、自力で生活が難しくなるため、法律上【障害者】認定を受けれることがあります。
障害者認定を受けることで、同じ家計で生活する課税対象となる所得から、一定金額の控除が受けられる「障害者控除」を受けることができます。
障害者認定の条件には、「精神又は身体に障害のある年齢が満65歳以上の人」且つ、「市町村長等や福祉事務所長の認定」を受けることが必要となります。
まとめ
要介護4で在宅介護を行う場合には、介護保険サービスが必要不可欠となります。また、介護保険サービスの支払いも、上限が高くなることで、支払い費用が高くなってきます。
利用できそうな制度を知ることで、支払い費用を抑えることもできますので、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。