要介護3とは、介護なしには生活できない状態で、昼夜問わず介護が必要となってきます。
そのため、在宅介護をしている場合には、介護保険サービスの活用が、なくてはならない存在になります。
今回は、要介護3とはどんな状態なのか・要介護2や要介護4との違いについても、具体的にご説明します。
また、要介護3で受けることのできる介護保険サービスとは、どんなものがあるのかについても、わかりやすく解説していきたいと思います。
- 1. 要介護3とはどんな状態か
- 2.要介護ってどうやって決まるの?
- 3. 要介護3と要介護2の違いは?
- 4. 要介護3と要介護4の違い
- 5.要介護3で受けることのできる介護サービス
- 6. 要介護3で受けれる介護保険限度額
- 7. 住宅改修の補助金は、上限20万円
- 8. 要介護3でレンタル・購入できる福祉用具は?
- まとめ
1. 要介護3とはどんな状態か
要介護3の状態とは、日常生活のほぼ全てを介護なしでは行うことが難しい状態です。
例えば、食事・排泄・入浴において、常に介助が必要な場合や、立ち上がりや歩行が自力では難しい場合などです。
他にも、認知能力が低下して、誤食や徘徊、不潔行動・妄想の頻度が上がった場合にも、要介護3となります。
要介護3になると、昼夜問わず介護が必要となる場合が多いため、施設への入居検討をするご家族も増えてきます。特別養護老人ホームも、要介護3から入居が可能となります。
2.要介護ってどうやって決まるの?
要介護認定の流れ
市区町村に申請書類などを提出後、訪問調査が本人の状態を確認し、コンピュータによる一次判定が行われます。
その後、一次判定と主治医の意見書をもとに、福祉や保健の専門家たちによる介護認定審査会が行われます。(二次判定)
一次判定と二次判定を合わせて、本人に適切な介護認定が決まるのです。
要介護認定の基準
要介護認定の基準として、1日あたりの介護にかかる時間を具体的に表した「要介護認定等基準時間」が使われます。
要介護認定等基準時間の段階とは
具体的な要介護認定等基準時間の段階は、要支援1の場合で、25分以上32分未満、要支援2では、32分以上50分未満となります。
要介護認定になると、要介護1の場合は、32分以上50分未満です。これは、要支援と時間的には同じになります。
要介護2では、50分以上70分未満、要介護3では、70分以上90分未満、要介護4では90分以上110分未満、要介護5は110分以上です。
3. 要介護3と要介護2の違いは?
要介護2は、日常生活において自力でできることが少なくなり、食事や排泄にも介助が必要とされる状態です。また、歩行や立ち上がりも、不安定なため、介助をすることで転倒を防ぐことができます。
一方で、要介護3では、日常生活のほぼすべてを介護なしに、できなくなってしまった状態です。歩行や立ち上がりは、自力では全く行うことができず、トイレや食事も全て介護を必要とします。
認知症症状ありの要介護3では、誤食や妄想によるパニックなど、目を離せない状態が続いてしまいます。そのため、家族も 24時間介護を行う必要がでてきます。
4. 要介護3と要介護4の違い
要介護3では、自力での立ち上がりや歩行が完全に難しくなっている状態です。そのため、食事や排泄などは、自力ではできないと判断されたときに認定されます。
要介護4になると、寝たきりの人も多くなり、移動は車椅子を利用する方も増えます。日常生活のすべてにおいて、介護が必要となり、ベッドでの生活が増えてきます。
5.要介護3で受けることのできる介護サービス
要介護3では、在宅介護サービスと施設サービスを受けることができます。要介護3認定を受けると、介護時間が増えるため、多くの方が、施設の入居も検討され始めます。
利用できる在宅介護サービス一覧
利用できる在宅介護サービスは、以下の通りです。
【自宅に来てくれる介護サービス】
✳︎訪問介護・訪問入浴介護・訪問看護
✳︎訪問リハビリテーション
✳︎夜間対応型訪問介護
✳︎居宅療養管理指導
✳︎定期巡回・随時対応型訪問介護看護
【通って受ける介護サービス】
✳︎デイサービス
✳︎通所リハビリテーション
✳︎地域密着型通所介護
✳︎認知症対応型デイサービス
【訪問・通所・短期入所の複合型】
✳︎小規模多機能型居宅介護
✳︎看護小規模多機能型居宅介護
【宿泊型の介護サービス】
デイサービスや訪問介護の頻度は?
要介護3認定の方のケアマネージャーによるケアプランは、個々に合わせたものになります。そのため、デイサービスや訪問介護の頻度も人それぞれ違います。
たとえば、訪問介護を7回と、デイサービスを週2回組み合わせる方もいれば、午前に週3回・平日午後毎日の8回分の訪問介護とデイサービスやデイケアを週3回組み合わせる方もいます。
本人の状態によっては、血圧の測定など体調の変化を確認してくれる訪問看護がさらに週1回程度入ることもあります。
要介護3認定で特別養護老人ホームも入居可能に
特別養護老人ホームは、要介護3以上の認定を受けた方が入居できる施設になります。24時間介護ケアをしてくれるほか、基本的に終身利用することもできます。
特別養護老人ホームは、有料老人ホームとは異なり、公共施設となるため、月額料も介護保険が適応されます。しかし、人気が高く、重度の介護が必要な方や、緊急性の強い方が優先されるため、地域によっては待機に数年かかることもあります。
最近では、有料老人ホームも低価格で入居可能な施設や、医療ケアに特化している施設など様々なサービスがあります。
まずは資料請求をしてどんな施設があるのかを、あらかじめリサーチしておくことも大切です。
要介護3で入居可能な施設とは
✳︎介護付き有料老人ホーム
✳︎住宅型有料老人ホーム
✳︎サービス付き高齢者向け住宅
✳︎認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
✳︎特別養護老人ホーム(特養)
✳︎軽費老人ホーム(ケアハウス)※条件あり
✳︎介護老人保健施設(老健)
✳︎養護老人ホーム※条件あり
✳︎介護医療院
✳︎地域密着型特別養護老人ホーム
✳︎地域密着型特定施設入居者生活介護
要介護3認定を受けると、健康型や自立型以外の介護サービスを伴う施設は、ほぼどこでも入居することが可能です。
リハビリを兼ねて介護老人保健施設に入居し、自宅とは違う環境で数ヶ月間過ごしてみることもできます。
6. 要介護3で受けれる介護保険限度額
要介護3認定の場合は、介護保険サービス利用限度額が上がり、【1ヵ月あたり1ヵ月あたり27万480円】です(2021年1月現在)
介護保険サービスを利用した場合には、利用限度額までは保健適応となるため、負担割合に応じた金額を支払うこととなります。例えば、1割負担の方が、利用限度額まで使った場合、1ヶ月あたり、 2万7,048円支払う必要があります。
7. 住宅改修の補助金は、上限20万円
要支援もしくは、要介護認定を受けると、介護保険による住宅改修の補助金を受けることができます。住宅改修費用の上限は、20万円まで利用できるので、スロープや手すりなど必要な場合には、活用しましょう。
住宅改修の介護保険適応条件は、要介護・要支援認定を受けていること、在宅介護を行なっていることが必須となります。
また、住宅改修できる自宅は、介護保険に載っている住所のみとなります。
施設に入居予定がある場合や、継続的な入院予定がある場合には、補助金を受けることができないので注意が必要です。
8. 要介護3でレンタル・購入できる福祉用具は?
要介護3認定を受けると、日常生活に必要な福祉用具は、ほぼ全てレンタルすることが可能となります。
ただし、排泄を介護するための自動排泄処理装置は、要介護4以上からレンタル可能となります。
要介護3でレンタルできる福祉用具
✳︎歩行器
✳︎歩行補助杖(松葉杖や多点杖など)
✳︎手すり
✳︎スロープ
✳︎車いす
✳︎車いす付属品
✳︎特殊寝台(介護用ベッド)
✳︎特殊寝台付属品
✳︎床ずれ防止用具
✳︎体位変換器
✳︎認知症老人徘徊感知機器
✳︎移動用リフト
✳︎自動排泄処理装置(尿のみ吸引するタイプ)
排便機能付きは、要介護4以上からレンタル可能となります。
まとめ
要介護3では、介護保険サービスは、なくてはならない存在になります。
また、施設の入居は、金銭的な問題や本人の入居拒否などの問題もあるため、最近では介護度があがっても在宅介護を続けられる方も多いです。
介護度が上がると、どんなサービスを受けられるのかをしっかり考慮したうえで、ケアマネージャーと話し合うことで、より一層、ご家族やご本人にあった介護生活が送れるとも言えます。