仕事と介護の両立を応援するブログ

これから介護世代が増える中、育児や仕事と両立していく子供世代も増加します。いまそのような状況になっている方・これから可能性のある方に向けて、介護とはどのようなことなのかをわかりやすくお伝えできればと思います。

任意後見制度の手続きと費用とは?デメリットとは?

認知症になると、口座が凍結されてしまい、本人の財産を、本人のためであっても利用することが難しくなります。
そのため、本人の判断力がしっかりしているうちに、任意後見人を決めておくことで、将来への安心感にもつながります。

ご両親や身内の将来的な介護や財産管理のためにも、任意後見制度の内容を良く理解しておく必要があります。

今回は、任意後見制度の手続きとかかる費用についてわかりやすく説明します。任意後見制度のデメリットをしっかり理解した上で、本人の判断力があるうちに準備を進めましょう。

1. 任意後見制度とは?

任意後見制度とは、本人の判断力がある時点で、信用のおける任意後見人を決めておくものです。

例えば、任意後見人には、老人ホームへの入居手続きなどを行うことができるので、代理権を使うことができます。また、本人の財産を本人の介護などのために、適切に使うことができます。

任意後見人は、特別な資格が不要なため、家族や親族、友人でもなることができます。任意後見人には、弁護士などの任意後見監督人とよばれる人が監督することで、本人の財産を適切に使用しているかチェックされることになっています。

任意後見人になれない人とは?

任意後見人になれない人は、以下の通りです。

・ 未成年者
・ 家庭裁判所によって解任された法定代理   人・保佐人・補助人
・ 破産者
・ 行方の知れない者
・ 本人に対して訴訟をし、又はした者およびその配偶者並びに直系血族
・ 不正な行為、著しい不行跡その他人に後見人の任務に適しない事由がある者

2. 任意後見制度の手続きとは?

任意後見人を選ぶ

任意後見人には、家族だけでなく友人や弁護士などでもなることができます。特別な資格もいらないので、本当に信用できる人を選出するようにしましょう。

任意後見人は、1人に限らず複数人選ぶことも可能です。

任意後見人と本人が「任意後見契約」を結ぶ

任意後見人が決まったら、自宅近くの公証役場で「任意後見契約」を結ぶ必要があります。公証役場に問い合わせることで、公正証書の作成をお願いすることができます。

ご本人の判断力がしっかりしているうちに、「任意後見契約」締結まではしておくようにしましょう。

判断力が低下したと思ってきたら家庭裁判所

判断力が低下して、任意後見人がそろそろ必要と考える時期になったら、早めに家庭裁判所に選出してもらう必要があります。
家庭裁判所に選出された後に、任意後見人として機能することができます。

判断力が低下した場合には、本人の配偶者もしくは、4親等以内の親族が、家庭裁判所に【申立て】をすることで、【審問→調査→聴取→審判】の過程を経て任意後見人が選出されます。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任する

任意後見監督人とは、任意後見人がちゃんと事務を行っているかどうか監督する責任がなされます。基本的には、弁護士や司法書士といった専門職が任意後見監督人として選ばれます。

 任意後見監督人には、裁判所がきめた報酬を、本人の財産から支払われることになります。

任意後見監督人決定後、任意後見人業務ができる

任意後見人への支払いは、必須ではありません。身内が任意後見人となり、支払いを不要としている場合には、費用は発生しません。

相場としては、家族が任意後見人となった場合には、月額無料〜5万円、専門家がなる場合には、2〜6万円となります。

任意後見監督人に支払う費用

任意後見監督人に支払う費用は、裁判所が本人の財産額を元に金額を決定します。

基本的には、管理財産が5000万以下の場合には、月額1~2万円、5000万以上の場合には、月額2.5~5万円が相場となります。

任意後見監督人に支払う費用は、本人の財産から支払われます。

4. 任意後見制度のデメリットとは?

本人の判断力がしっかりしているときに、ご自分の信頼できる人に財産管理を任せることができるのが任意後見人の最大のメリットといえます。
では、デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

死後の処理を委任することはできない

本人が死亡した場合には、成年後見人の法律上の代理人権は消滅してしまいます。そのため、本人の死後は、相続人に財産の引渡しを行うなどの業務を行います。

任意後見人には、取消権はない

本人が契約した契約書などに対して、任意後見人には、取消権が認められていません。そのため、本人が詐欺などに遭ってしまった場合にも、取消権がないために、解除することが難しいといえます。

手続きに時間と手間がかかる

任意後見人は、本人の判断力が低下してから、裁判所に選任されるなど、時間と手間がかかってしまいます。
本人の判断力低下する前から、財産管理を行うことができる財産管理委任契約財産管理委任契約の方が、公的証書も不要なため、手続きへの時間や手間はかからないといえます。

https://kaigo.link/entry/zaisankanriininkeiyaku/advantages-disadvantages/

まとめ

認知症になると、銀行口座が凍結されてしまうため、本人の介護費用であっても預貯金を下ろすことができなくなります。

本人の意識がしっかりしているうちに、信頼のおける人を任意後見人に選んでおくことで、本人の安心にもつながります。また、任意後見人には、社会的信用もあるので、さまざまな代理権があります。