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これから介護世代が増える中、育児や仕事と両立していく子供世代も増加します。いまそのような状況になっている方・これから可能性のある方に向けて、介護とはどのようなことなのかをわかりやすくお伝えできればと思います。

低栄養傾向の女性高齢者は、5人に1人も!低栄養の原因と症状とは?

物覚えが悪くなってしまった、風邪ひきやすくなったなどの症状がある人は、低栄養傾向にあるかもしれません。

高齢者になると、食事の楽しさが減ってしまい、食事の偏りや食べる量が減る方が多くなります。慢性的な栄養不足が続くことで、身体を作るエネルギーやタンパク質が減ってしまい、低栄養状態となってしまいます。

今回は、高齢者に多く見られる低栄養の原因と症状について、わかりやすく説明したいと思います。

1. 低栄養傾向の女性高齢者は、5人に1人

厚生科学審議会による平成29年度の調査結果では、65歳以上で低栄養傾向の人【BMI≦20kg/㎡】は、男性が12.5%、女性は19.6%にも及ぶことがわかっています。
女性では、約5人に1人が該当しているため、低栄養傾向の人がいかに多いかがわかります。

調査結果では、外出している人や肉体労働をしている人、タンパク質をしっかり食べれている人ほど栄養状態が良かったことがわかっています。


2. 高齢者の低栄養の原因とは?

低栄養とは、食事の量が減ったり、食事内容が偏ることで、身体を動かすエネルギー源が十分に行き届いていない状態です。原因は様々で、すが、具体的には、以下の原因が考えられます。

食事による原因

・食事の量が減っている

・咀嚼がうまくできていない

・消化・吸収能力が低下している

・食事の内容が偏っている

特に、身体を作るタンパク質の摂取量が減ってしまうと、筋肉が減りやすくなり、低栄養に陥りやすいことがわかっています。

また、自分の歯で食べれることにより、噛む力が保たれやすくなり、消化・吸収の手助けにもなります。高齢者の口腔ケア は、全身状態の改善にもつながるといえます。

心理的な原因

ペットや配偶者との別れにより、心理的ストレスから食事が取れなくなる方もいらっしゃいます。

他にも、加齢により今までできていたことが自力でできなくなった(トイレに失敗してしまうなど)ことによる喪失感から、食欲低下につながることもあります。

社会的な原因

高齢になると、外出をしたくなくなったり、他人や社会から孤立して生活をしてしまう傾向にあります。そのため、買い物に行く頻度が減り、偏った食事や食事量が減ることが考えられます。

他にも、ひとり暮らしの高齢者は、野菜などを買っても食べ切れないことから、自炊をせずにお惣菜や菓子パンなどで、食事を済ませてしまうことも多いです。様々な食材が摂れずに、栄養が偏ってしまうのです。

3. 低栄養の診断基準とは?

低栄養の診断基準は、さまざまな検査が必要となります。

身体測定

低栄養の診断でもっともわかりやすいのは、BMIになります。BMIとは、体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))で求めることができます。

高齢者は、 BMIが20以下になると、低栄養のリスクが高まると言われています。20を超えるのは、難しいと考えられがちですが、高齢になると身長も低くなってきます。そのため、最新の身長と体重で算出する必要があります。

体重の減少

1〜6ヶ月以内に、 3%以上の体重の減少がある場合は注意が必要となります。体重の減少についての計算式は、以下の通りです。

(通常の体重-現在の体重)÷通常の体重×100

例えば、55kgから50kgまで減った場合は、
(55-50)÷55×100=9となるので、体重減少率は9%となり、高リスクといえます。

血液検査

血液検査で最も重要なのは、血清アルブミンです。アルブミンは、肝臓で作られるタンパク質で、血液中のタンパク質の約60%を占めています。

アルブミンの働きとしては、むくみの改善や栄養を全身に運んだりしてくれます。アルブミンが3.5g/dlを下回っていると、低栄養の可能性がでてきます。

しかし、アルブミンの低下は体調不良や肝臓などの病気によっても起こり得ます。そのため、総コレステロール値や、血中ヘモグロビン値も合わせて確認します。

4. 高齢者の低栄養の症状とは?

低栄養化は、徐々に起こるため、本人に自覚がないことも多いです。具体的な症状を挙げてみましょう。

・体重が減ってしまう

・骨格筋の筋肉量や筋力が低下する

・元気がでない

感染症にかかりやすくなる、なかなか治らない

・傷や褥瘡ができても、なかなか治らない

・転んだりつまづきやすくなる

・骨折しやすくなる

・物忘れが多くなる

・下半身や腹部がむくんでしまう

低栄養では、食事の量が十分にとれていなかったり、食事内容が偏っている傾向にあります。そのため、しばしば脱水も一緒に起こっていることがあります。 

高齢者の水分補給 は、低栄養と同じくらい自覚症状を感じにくいといえます。口の渇きなどが出る前に、適切な対処 が必要です。

まとめ

高齢者の方をお見かけすると、たしかに日本人は痩せている人がとても多いなぁと感じます。そして、社会生活を送らずに家に引きこもりがちになったり、配偶者を失いひとり暮らしになるなど様々な要因で、低栄養のきっかけができてしまうことがわかりました。

低栄養は、命の危険にもつながります。まわりで気づいてあげること、定期的に病院へ出向き、健康チェックを受けることが大切です。