薬局で薬をもらった後に、冷蔵庫で保管する方や引き出し、何かの缶などに保管しておく方など様々ですよね。
特に、冷蔵庫に保管すると品質が落ちないのではと考える方が多いのですが、 冷蔵庫には向き不向きの薬もあります。
坐薬や注射、シロップ剤などは、冷蔵庫向きのものが多いですが、 カプセルや錠剤は、冷蔵庫からの出し入れによって、劣化が早くなるものもあります。
今回は、 正しい薬の保管の仕方について、薬剤師がお伝えしていきたいと思います。
1. 薬の保管は、遮光・防湿が大前提
薬の保管の大前提は、 遮光と防湿になります。直射日光があたったり、湿気の強い場所に保管することで、薬の成分が分解してしまい、効果が得られにくくなることがあるからです。
特に、 湿気のこもるタンスの中や、高温になる車の中、窓際などは、薬の成分が分解されやすいので注意が必要です。
2. 薬別の最適保管方法
水剤は、基本的に冷蔵保存
水剤と呼ばれるシロップ剤などは、 他の薬と混ぜているものほど使用期限が短くなります。
子どもの風邪薬は、咳や痰切りなど混ぜてあることが多いため、大体2週間以内には使い切ってもらうのが前提です。
水剤は、 1~15℃の範囲の冷所での保管が基本となります。冷蔵庫でも、冷気の直接当たらない卵などを保管する場所が、最も薬を保管しやすいと言われています。
坐薬は、薬による保管を
坐薬は、直腸に挿入して体温で溶けるように工夫されている製剤です。そのため、 熱に弱いものも多く、冷蔵保存しなければいけないものもあります。
一方で、腸の水分を吸収することで溶けるように作られている坐薬は、 常温保存がメインとなります。
薬をもらうときに、最適な保管を教えてもらえますので、そちらに従ってください。
錠剤・カプセル剤・散剤の保管
錠剤・カプセル剤・散剤については、 常温保存が基本です。また、 直射日光が当たる場所や、湿度の高いところは避けて保管が必要です。
缶ケースなどに、乾燥剤を入れて、他の防虫剤や市販薬とは避けて保管するようにしましょう。
点眼薬は、薬による保管を
点眼剤は、常温で分解してしまう成分のものもあります。点眼剤の中には、使うまでは冷蔵庫保存で、使い始めたら常温で保管というものもあります。
また、多くの点眼剤で気をつけなければいけないのは、 光を避けることです。光に当ててしまうと、分解してしまうものもあるので、 付属の袋が遮光袋の場合には、そちらを活用してください。
点眼剤も薬によって、冷蔵庫・常温・遮光とさまざまな保管方法が決まっています。わからないときは、薬剤師に聞いてみてください。
軟膏は、室温保存が大前提
一部のしもやけの薬のビタミンEなどは、温度が高いと分解しやすくなるため冷蔵庫保存となりますが、 ほとんどの薬は、常温保存になります。
特に、混ぜてある薬などは、混ぜた薬の均一性が保たれなくなるため、冷蔵庫には入れないようにしましょう。
3. 冷蔵庫保存で最適な場所とは?
冷所保管といわれるお薬は、 15度以下を目安にしたものになります。一般的な家庭の冷蔵庫は、10度以下になりますので、最適な温度と言えます。
冷蔵庫保存をする場合には、 冷気が直接当たらないところに保管する必要があります。冷気は一般的に下に溜まりやすいため、上の段と下の段では、1〜2度ほど温度がかわります。また、冷気の吹き出し口も冷やし過ぎの可能性があるため避ける方が良いでしょう。
あまり開けない方の扉の卵を保管する場所などが、冷気が直接当たらず最適と言えます。
4. 薬は子どもの届かない場所に保管を
薬は、子供にとっては ラムネやジュースのようにも見えてしまうので、保管場所には十分に注意しましょう。
お菓子の缶などに保管すると、 子供の興味がそそられてしまうこともあります。缶ケースの保管は、とても便利ですが、おく場所や缶のデザインに注意が必要です。
5. 古い薬は定期的に破棄しましょう
処方された薬は、 基本的に処方日数以内が使用期限と考えられています。しかし、自宅に残薬があったり、自己調節や頓服で使っている薬もあるかと思います。
薬は、食べ物のように見た目が腐敗しないのでわかりにくいですが、使用期限もあります。くわしくは、こちらの記事を参考にされてみてかださい。
https://kaigo.link/entry/medicines-expiration-date/how-to-know-by-pharmacist/
また、余った薬の活用法についても、解説していますので、ぜひ参考にされてみてください。
https://kaigo.link/entry/leftover-medicines/how-to-use/
まとめ
薬の保管については、冷蔵庫で保管される方も多く、間違った認識を持たれている方もいます。薬の成分によっては、成分が分解して薬の効能が減ってしまう可能性もありますので、正しい知識を持つことが大切です。