コロナにより、新たな働き方として、テレワークを経験した方も多いのではないでしょうか。
テレワークの導入により、在宅介護の在り方にも変化があるのではと期待されています。一方で、自由な時間が介護漬けになり、ストレスが増加してしまう危険性もあります。
無理なく仕事を続けながら介護環境を整えることで、増加している介護離職を減らす可能性も見えてきます。
今回は、テレワークをしながら在宅介護をするポイントとメリットについてご紹介したいと思います。
目次
1. テレワークの普及率とは
顔と顔を合わせて会議や営業などをしたほうがいいという風潮の強い日本では、テレワークはコロナ以前からあるものの、あまり定着しませんでした。
しかし、コロナによりテレワークの知名度が上がり、少しずつ広まりつつあります。
総務省の調べによると、平成30年度のテレワークを導入している企業は、全国で約20%にまで増加しています。
また、今後も導入する見込みを含めると、約3割程度まで増加する予定です。
しかしながら、テレワークを導入しているものの、実際には半数の企業で、社員の5%未満しかテレワークを実施できていないという現状もあります。
2. テレワークによる在宅介護へのメリット
遠距離介護とテレワーク
実家が遠く、親の介護が遠距離な人も多いです。そのため、なかなかケアマネージャーさんと話ができず、介護の介入が進まなかったという話もしばしば耳にします。
テレワークを導入することで、実家でも仕事をすることが可能になります。テレワークの後に、地域の介護施設見学や病院の付き添い・ケアマネージャーとの打ち合わせなど、今までできなかったことも可能にできます。
周りの目を気にしなくても良くなる
会社では、育児は話しやすいものの、介護していることを打ち明けられない人もいます。
しかし、テレワークの実施により、移動時間がなくなります。仕事を終えた後は、介護に時間を当てやすくなるのです。
特に、テレワークを機会に、介護環境を整える人が多いようです。
今まで任せきりにしていたケアマネージャーと、ケアプランを見直したり、今後の介護に向けて、施設見学など、先を見据えた準備を行うことができます。
先が見えることで、心にも少し余裕ができるのではないでしょうか。
3. 大半が後悔?介護離職の背景
介護離職の主な理由
平成24年厚生労働省の委託調査によると、介護離職をした人の6割は、「介護と仕事の両立が難しい職場だった」ことを理由にしています。
また、「自分の心身の健康状態が悪化したため」が次に多い意見です。
介護をしながら仕事をすることで、睡眠不足やストレスから、精神の疲れが溜まってしまう傾向にあります。
介護離職をした人が後悔する理由
介護離職は、したくてする人は殆どいません。
仕事を継続したくても、精神的にも体力的にも限界がきて、泣く泣く離職につながってしまうのです。
介護をしている間は、親の年金で生活もできますが、看取りをするとそれもなくなります。そして、再就職をしようとしても、年齢的にも難しくなってしまうのです。
介護と仕事の両立は、毎日がとても大変ですが、長い目で見て、後悔しないように判断する必要があります。
介護離職後の再就職率とは
2018年の総務省調査によると、介護離職をした中で再就職ができたのは、約4割にすぎません。ほとんどの人は、再就職ができなくなってしまっているのです。
再就職しても年収激減
介護離職後に、再就職できた人たちも、年収は平均して約4割も下がると言われています。
たとえば、介護離職前に、年収が350万円だった人は、再就職をできても年収200万円にも届かないのが現状です。
これは、介護離職をする人の多くが、働き盛りで年収の高い40代から50代に集中しているためです。
4. テレワークをしながら介護をするポイント
仕事に集中する
テレワークをしながら介護をする最大のポイントは、オンオフをハッキリすることです。
仕事をする時間は、仕事をすることに集中し、ケアマネージャーさんとケアプランについて話し合ったりする時間については、別で時間を作ります。
要介護者に理解してもらう
テレワークをするならば、介護を受ける家族にも、家で仕事をしていることの理解を求める必要があります。仕事に集中するために、家族の理解は、必須ともいえます。
活発な認知症の方の介護は、もしかしたら、テレワークでは、時間の確保が難しく、逆にストレスにつながってしまう可能性もあります。
まとめ
コロナによりテレワークの普及が増え、一時的でも自宅にいる時間を設けられるようになりました。
また、働き方の一つとして、テレワークが定着していけば、在宅介護の負担も少し下がる可能性があります。
テレワークができたからといって、介護に専念すると心折れしてしまう可能性もありますので、まずは、介護環境の見直しから始めましょう。