特別養護老人ホームと老人保健施設である老健は、共に公的施設であり、介護保険を利用することができます。
しかし、施設の特徴や目的は、大きく異なります。
今回は、終身入居ができ、介護ケアが充実している特別養護老人ホームと、在宅介護を目標とするリハビリや医療ケアに特化した老健について、施設の特徴や入居条件・受けられるサービス内容を、わかりやすく説明したいと思います。
まずは資料請求してみましょう。
1. 特養と老健の大きな違い
特養と老健の大きな違いは、入所目的と、入所期間になります。
特養は、在宅介護が難しい方が、介護ケアを受けながら、終末期まで住み続けることができる施設です。
一方で、老健は、特養と同様の介護ケアをうけつつも、在宅に戻るためのリハビリを目的としています。そのため、入居中は、理学療法士などによるリハビリを受けます。
入居期間も短く、 3ヶ月〜6ヶ月で退去し、自宅に戻ることが原則となっています。
2. 特養と老健の入居条件の違い
特養の入居条件
原則65歳以上、要介護3以上の方が入居対象です。特定疾病により、介護が必要となった場合には、40歳以上から入居できます。
また、家族からの虐待など、自宅で介護を受けることのできない特例措置もあります。その場合は、要介護1もしくは2でも、入居できることがあります。
老健の入居条件
原則65歳以上、要介護1以上の方が入居対象です。特定疾病により、介護が必要となった場合には、40歳以上から入居できます。
老健は、施設が薬代を負担するため、免疫抑制剤など高額な薬を必要とする場合には、入居が難しいこともあるため確認が必要です。
3. 特養と老健の受けられるサービスの違い
介護度の高い方を対象とした、介護ケア中心の特養に対し、老健では、医療ケアとリハビリ中心のサービスとなります。それぞれ詳しくみていきましょう。
特養で受けられるサービス
特養では、食事・排泄・入浴などの介護サービスのほか、掃除・洗濯などの生活支援も受けることができます。生活支援では、できるところまでは自分で行う自立支援を促しており、介護士は、個々に合わせた援助を行います。
レクリエーションや季節のイベントがあり、長く過ごす施設での生活への配慮がなされています。またレクリエーションは、脳への刺激を行い、介護度が悪くならないような予防の目的もあります。
老健で受けられるサービス
老健は、退院後に自宅に戻ることに不安がある方なども多く入居します。そのため、体調の変化が起こることもあるため、常勤の医師と看護師の配置が義務づけられています。
多くの施設では、看護師が24時間体制で配置されているため、夜間にも痰の吸引や経管栄養など、医療ケアをうけることができます。
リハビリについては、理学療法士や作業療法士が配置されているので、個々にあったリハビリ計画を立てて、受けることができます。
具体的なリハビリとしては、週2回以上1回20〜30分で、歩行訓練やベッドからの起き上がり・車椅子への移動など、在宅復帰に向けたリハビリとなります。
生活介助については、食事・排泄・入浴の介護ケアを受けることはできますが、洗濯サービスはついていないことが多く、家族が持ち帰るか外部サービスを頼むこととなります。
4. 特養と老健の施設設備の違い
部屋のタイプ
特養・老健とともに、部屋のタイプは、4種類です。
4人以下の大部屋と、完全個室、10人以下の個室がリビングルームを囲むように配置されたユニット型個室、大きな部屋を仕切りで分けられたユニット型準個室があります。
長く暮らす特養は、ユニット型など個室ケアが増えてきています。一方で、一時的な入居の老健は、大部屋がまだ主流となっています。
部屋以外の施設設備
共有設備として特養・老健ともに、診察室、レクリエーション部屋、リビング、食堂、お風呂、洗面所、トイレなどの配置が義務付けられています。
一般的に老健は、特養よりもリハビリの設備が充実しているのも特徴です。
5. 特養と老健の費用の違い
特養と老健ともに、公的機関のため入居一時金は無料です。また、月額利用料も介護保険を利用することができます。
特養と老健は、月額利用料として、施設サービス費用・家賃・食費・日常生活費を払います。月額利用料は、リハビリが多い老健が施設サービス費が高くなるため、特養よりも少し高い傾向にあります。
月額利用料としては、特養・老健ともに、 1割負担の方で、月額約8万〜13万円となります。
医療費や診察・薬代については、老健は施設サービス費用に含まれていますので、追加でかかることはありません。一方で特養は、医療保険を使用して、診察や検査・薬代が出るため、かかった分だけ医療費が、施設から毎月請求されます。
まとめ
特養・老健ともに公的機関ではありますが、その機能や特徴は、大きく変わってきます。
最近では、特養の待機のために、老健に入居される方も多いですが、老健の機能をしっかり理解したうえで利用することをお勧めします。