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これから介護世代が増える中、育児や仕事と両立していく子供世代も増加します。いまそのような状況になっている方・これから可能性のある方に向けて、介護とはどのようなことなのかをわかりやすくお伝えできればと思います。

認知症の放置は危険!認知症の進行を少しでも遅らせるためにできること

認知症は、認知症の種類や、薬の反応に個人差はありますが、かなりの期間(数年単位)で進行を遅らせることができる可能性があります。

認知症の進行を遅らせることで、本人の生活が穏やかになり、介護や見守る家族も安心して過ごすことができるようになります。

今回は、認知症の進行を少しでも遅らせる方法についてお伝えしていきたいと思います。

認知症の進行を遅らせるには、薬の服用を続けるための正しい知識や、非薬物療法の存在もご家族は知っておくべきだと思います。ぜひ参考にされてみてください。

1. 認知症の進行を遅らせるには?

認知症とは?

認知症は、軽度認知障害などから進行して起こることも多く、物忘れや置き忘れなどが多くなった段階で、ご家族が気付くことが多いです。

現在は、核家族化していて、高齢者が独居ですごす比率も高くなっています。社会から孤立をしたり、他の人とコミュニケーションをとる機会が減ることで、認知症が起こりやすくなる可能性もあります。

認知症の進行を遅らせるには?

認知症の進行を遅らせるためには、薬を服用することによる薬物療法と、脳トレーニングなどを行う非薬物療法があります。

薬物療法と非薬物療法を組み合わせることで、より脳への刺激が高まり、認知症の進行予防へつながると考えられます。

2. 認知症の進行を遅らせる薬物療法とは?

現在使われている薬は、認知症の中核症状を抑えていく脳に働きかける認知症治療薬と、睡眠障害や心理症状を改善する漢方薬向精神薬などが、主に使われています。

3. 認知症の進行を抑える薬物療法

認知症の中核症状をおさえるお薬で、使用することにより、認知症の症状の進行をゆるやかにすることができます。薬物療法には、大きく分けて2種類あります。

アセチルコリンエステラーゼ阻害薬

アルツハイマー認知症では、アセチルコリンと呼ばれる神経伝達物質が減ってしまうことで記憶障害などの症状が現れます。

また、神経伝達物質アセチルコリンは、アセチルコリンエステラーゼとよばれる酵素により、分解されて減ってしまいます。このアセチルコリンを分解する酵素の働きを抑えることで、働くのが、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬になります。

NMDA受容体拮抗剤

アルツハイマー認知症では、脳内のグルタミン酸が過剰に増えてしまい、神経細胞に大きな負担になってしまいます。

NMDA受容体拮抗剤では、脳内のグルタミン酸が増えすぎてしまった時にだけ、それ以上増えないように働く役割があります。

4. 認知症の周辺症状を改善させる薬物療法

認知症が進行すると、昼夜逆転してしまって夜の寝つきが悪くなったり、夜中に起きてしまったりと周辺症状が現れます。他にも、イライラして家族に当たってしまったり、不穏になってやる気が起きなくなることもあります。

漢方薬

よく使われるのは、抑肝散とよばれる漢方薬です。認知症による攻撃的な症状や、イライラを和らげる作用が期待できます。

睡眠薬

認知症になると、昼夜逆転してしまったり、夜中に起きて騒いでしまうなどの症状がでます。そのため、睡眠導入剤などで、夜間の眠りを促します。

抗精神病薬

抗精神病薬は、認知症による焦燥感や不安、興奮を抑える目的で使います。多種類使うのではなく、症状に合わせて、必要分だけ最小限に使うことが良いとされています。

5. 認知症の進行を遅らせる非薬物療法とは?

認知症の進行を遅らせるためには、個人の症状に合わせて心理的なアプローチや、リハビリを行うこともあります。代表的な方法としては、運動療法作業療法や回想法などがあります。

運動療法

認知症の進行を遅らせるための運動療法は、本人の体調に合わせて行われます。

運動療法には、自分で行ったり、他の人が身体を動かしてあげることにより行われます。具体的には、ストレッチや、音楽やリズムに合わせた体操などがあります。

運動療法を行うことにより、筋力の維持や転倒予防・動作や痛みの改善につながります。

作業療法

認知症の進行を遅らせるための作業療法は、難しいことにチャレンジするのではなく、自分の自信につながるようなプログラムを行っていきます。具体的には、手工芸や、パズル、ゲームなどを用いて、他の人とのコミュニケーションをはかったりします。

認知障害がでてくると、話が噛み合わなかったり、話したい内容があっても言葉が出てこなくて塞ぎがちになったりします。作業療法を通じて、他の人と自然なコミュニケーションをとることで、自身にもつながります。

回想法

回想法は、写真や本人の話をもとに、その人の人生を思い出したり振り返ってもらう方法です。

認知症の方は、最近の出来事は忘れてしまいますが、昔のことは良く覚えていることが多くなります。昔の話をするときは、楽しそうにしっかりと話されるので、話している内容を共感することで、穏やかな気持ちを共有することができます。

また、昔のことでも思い出すことで、脳への刺激につながります。

リアリティオリエンテーション

リアリティオリエンテーションは、受けられる施設がまだ限られていますが、現実見当識訓練とも呼ばれています。

主に、本人が今どこにいるのか、何をすべきなのか、今日は何曜日で何時なのかなどの見当識への訓練になります。具体的には、スタッフが着替えなどの日常生活の補佐をしながら、本人に今何時か、何曜日なのかなどに注意がいくように質問等を行います。

他にも、非薬物療法として、音楽療法・ペットセラピー・園芸療法などがあります。

まとめ

認知症の症状がわかったら、放置せずに病院へ行くことが大切です。認知症の種類によっては、進行を遅らせる薬を使うことで、比較的長い期間安定した生活を送ることができます。