医薬品副作用被害救済制度とは、医薬品を用法用量を守りながら使用したのにも関わらず、副作用が出てしまったときに利用できる制度です。
高齢になると特に、内臓の機能が低下しやすく、副作用が出る可能性も高くなります。
誰でも起こり得ることなので、いざという時のために知っておいてほしい医薬品副作用救済制度の対象や請求期限について、薬剤師が解説していきたいと思います。
1. 医薬品副作用救済制度とは?
医薬品副作用救済制度とは
医薬品副作用救済制度とは、正しい使い方で医薬品を使用したにも関わらず、副作用が出てしまったときに助けてくれる制度です。
認められる副作用の程度としては、副作用により入院が必要となった場合や、日常生活が著しく制限された場合、死亡した場合などの3種類になっています。
医薬品副作用救済制度は、82%に支給されている
平成24年〜28年の間に、医薬品副作用救済制度を申請した方のうち、約82%の方が支給されていたことがわかっています。
不支給として認められなかった方の理由としては、以下の通りです。
・医薬品の副作用とは認められなかった
・医薬品の適正使用がされていなかった
・入院するほどの副作用とは認められなかったなど
認知率がとても低い
厚生労働省が平成28年度に調べた情報によると、医薬品副作用救済制度の認知率は低く、【知っている】と答えた一般国民は、8.6% 、【名前は聞いたことがある】と答えた方は、20.9%となっています。
医師や薬剤師の認知率は、95% を超えており、一般国民にも、制度を普及していく必要があるといえます。
2. 医薬品副作用救済制度の対象とは?
医薬品副作用救済制度の対象は、病院から処方された薬や、薬局で購入した医薬品が対象となります。一方で、抗がん剤や、免疫抑制剤などの一部の医薬品は、制度の対象外となっています。
他にも、直接体に使用しない殺虫剤や殺鼠剤、体外診断薬や、カラーコンタクトなども対象外となっています。
3. 医薬品副作用救済制度の請求期限とは?
入院が必要となった場合
医薬品副作用救済制度の請求期限は、入院や私生活が著しく低下した場合の医療費・医療手当 については、 5年以内となっています。
生活が著しく低下して、障害が認められた場合
副作用により障害が認められた場合には、障害年金と障害児養育年金 については、請求期限は定められていません。
副作用により、亡くなられた場合
遺族年金・遺族一時金・葬祭料 の請求は、死亡のときから 5年以内となっています。
もし、死亡前に医療費、医療手当、障害年金又は障害児養育年金の支給決定をされていた場合には、死亡のときから 2年以内なので、注意しましょう。
4. 医薬品副作用救済制度の申請方法
誰がどこに申請するのか
医薬品副作用救済制度の申請は、副作用が出てしまった本人もしくは、死亡してしまった場合には遺族のうち最優先順位の人が、 PMDAに直接行うことになっています。
申請に必要な資料とは
申請に必要な資料としては、副作用の発現・症状や経過について、明らかに原因となるであろう医薬品との因果関係を記載したものが必要となります。
具体的には、医師の診断書と、適切に薬を使用していたことがわかるように、投薬・使用証明書をPMDAに提出します。
もし、副作用の治療を行った病院が2か所以上担った場合には、すべての病院の担当医師に診断書を作ってもらう必要があります。
請求書、診断書などの用紙はPMDAから送ってもらうこともできますし、PMDAホームページから無料ダウンロードもできます。
まとめ
医薬品を使っていて、重篤な副作用が出てしまった場合には、国からの救済制度があることをもっといろいろな人に知ってもらうべきだと思っています。
薬局に勤めていたときも、 1度だけこちらの制度について患者様から相談をいただいたことがあります。薬剤師の認知度は、97%以上と高く、1番身近な相談相手とも言えます。気になった方は、ぜひ薬局で相談してみましょう。
副作用で悩まされている場合や、近くにそのような方がいらした場合には、ぜひ制度をお伝えして、活用していただけたらなと思います。