核家族が増加して、高齢者のみで住んでいる世帯も増えています。また、医療の発達により高齢化が進み、認知症の患者数も右肩上がりで増えています。
各家族で住んでいて、ご両親の片方が認知症を患っている場合には、認認介護につながるもしくは、認認介護にすでになっている可能性があります。
将来直面するかもしれない認認介護の現状を知り、問題点や対策についてぜひ理解を深めてもらえると良いかと思います。
1. 認認介護とは?
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」によると、2020年において65歳以上高齢者の約6人に1人が認知症とわかっています。
認知症患者は、今後も右肩上がりで増加すると予想されています。
認認介護とは、認知症を患う65歳以上の高齢者が、認知症の高齢者を介護することを意味します。老老介護とともに、現代の在宅介護の問題点とされています。
2. 認認介護の現状は?
核家族が増えて、親元を離れて暮らす子供が多くなっています。そのため、高齢になり介護が必要になっても、一緒にするでいる夫婦の片方が介護を担うことになります。
認認介護の全国的な統計はとれていなく、本人が認知症である自覚がない場合も多いため、把握が難しいと言われています。
しかし、2010年に山口県で行われた推計調査では、山口県内で在宅介護を行なっている世帯のうち、約1割が認認介護になっていることがわかっています。
3. 認認介護の問題点とは?
適切な管理ができない
お互い認知症を患ってしまうと、介護側も食事をしたことを忘れてしまう、薬を飲んだかどうか忘れてしまうなど、適切な管理が行えなくなります。
そのため、介護する側も介護される側も、全身状態が悪くなる恐れがあります。
気温の変化に対応できない
認知症の方は、夏でも冷房をつけたがらなかったり、温度変化を認識することが難しい方もいます。そのため、真夏に長袖で過ごして、クーラーをつけなかったり、水分を充分に摂らないなどの気温の変化への対応が難しくなります。
火元の管理が難しい
認知症の方の中には、無自覚の方も多くいらっしゃいます。料理をするためにお湯を沸かしていながら、それを忘れてしまうなど、火元の管理が難しく、認認介護は大変危険です。
お金の管理ができない
どこになにがあるのか、お金をいつ使ったのかなどの管理ができないため、介護費用や生活費の適切な管理ができなくなります。これにより
、お金がなくなり、さらなる介護の低下へとつながってしまいます。
事件につながることも
認知症は、家族に対して攻撃的になることもよくあります。お互い認知症になってしまうと、ストレスや衝動がエスカレートしてしまい、事件につながることもあります。
4. 認認介護の対策は?
1番大切なのは、認知症の早期発見
認知症が無自覚・無治療であることが最も危険な状態です。おかしいなと感じたら、早めに治療を開始する必要があります。
攻撃性を予防したり、認知症の進行を抑える薬が有効なケースもあります。
家族や近所と助け合う
家族が定期的に連絡や訪問をしたり、近所に見守ってもらうことで、社会からの孤立も防ぐことができます。
また、第三者が介入することで、様子がおかしいと早めの判断ができます。
介護福祉サービスを利用する
認認介護を放置してしまうと、さまざまな管理ができずに、栄養状態や精神状態の悪化も招いてしまいます。デイサービスで、お風呂やご飯を食べる機会を作ったり、訪問介護で食事作りをお願いするなど、認認介護においては、介護サービスの利用は不可欠です。
地域包括支援センターに相談する
どんな介護サービスを受けることができるのか、住んでいる地域には、どんな介護サービス業者や施設があるのかを把握するためにも、まずは、地域包括支援センターに相談しましょう。
地域包括支援センターには、ケアマネージャーなどの地元に密着している介護のプロも在籍しています。介護への不安があれば、本人でなくても家族でもよいので、まず相談してみることから始めましょう。
まとめ
認認介護は、放置しても良い方向には決してなりません。むしろ、認知症の自覚がないままに介護を続けてしまうと、命の危険や事件や事故への発展にもつながります。
家族が訪問や電話をしたときに、おかしいなと感じたら、早めに対策を立てる必要があります。