介護離職ゼロを目指す社会作りは、安倍政権から始まりました。
特別養護老人ホームが増設され、今まで入居できなかった人が、入れたなど周りで聞いた方もいるのではないでしょうか。
今回は、菅政権による介護離職ゼロ対策と、今後の方向性についてもお伝えしていきたいと思います。
また、介護離職の現実と、それを防ぐために使える制度も解説していきたいと思います。
目次
1. 安倍政権による対策
2015年より、安倍政権は、一億総活躍社会を掲げて新たな政策を打ち出しました。
新たな政策の中で、「安心につながる社会保障」の一環として挙げられたのが、介護離職ゼロでした。
介護離職ゼロ対策により、特別養護老人ホームが増設され、全国に約52万人とされる特養待機者を一部減らすことができるようになりました。
2. 安倍政権対策効果
特別養護老人ホームは増設されたものの、肝心の介護に携わる働き手が不足しています。
そのため、介護をする家族も負担が大きいものの、現場で働く人たちにも大きな負担がのしかかっています。
しかし、安倍政権が介護に着目してくれたおかげで、新内閣の菅総理大臣も「介護離職ゼロ」対策を継続してくれています。
今までの政権では、打ち出されていなかった政策なので、安倍政権の発案は、とてもよい切り口になったのではと思います。
3. 年間の介護離職率
現在、 1年間で約10万人が介護離職をしていると言われています。さらに、介護離職している人の多くは、40代から50代などの、仕事でも重要な役割を担う働き手となっていることがわかっています。
施設に入居などで、つきっきりの介護に終わりが見えても、年齢や経歴的に再就職が難しく、介護離職に後悔をする人も多いと言われています。
4. 菅政権による今後の方向性・対策
施設から在宅介護へ
介護職員の不足が問題となっている一方で、要介護者がどんどん増加してきています。
そのため、政府は老人ホームなどの施設介護に早くから入居するのではなく、できる限り在宅介護を推進してきています。
在宅での看取りが約12%である現在から、2038年には、在宅看取りを40%まで引き上げる方針も立てられています。
介護休暇の見直し
介護休暇は、1年間に最大5日間取得できる介護のための休暇です。今までは、1日単位でしか取得することができませんでした。しかし、 2021年より、1時間単位で使用することが可能になります。
これにより、病院の付き添いやリハビリの付き添いなどもしやすくなり、労働者も介護休暇をとりやすい環境になると考えられています。
5. 介護離職を防ぐために利用できる制度
介護休暇
先ほどもお伝えしましたが、1年間に最大5日を限度に介護のために休める制度です。
2021年より、1時間単位で取得が可能になります。
介護休業制度
1年以上同じ会社で働いていることなど、取れる条件はありますが、介護のために長期間休みが取得できる制度です。
介護を必要とする家族1人につき、年間最大93日間休みを取ることができます。また、この休暇は、最大で3回に分けて分割してとることもできます。
介護休業給付金
取得には条件がありますが、介護休業をしていた期間もハローワークから給付金を受け取ることができます。
受取額は、以下の通りです。
休業開始賃金日額×支給日数×67%
注意しなければいけない点としては、給付金は、介護休業終了をしてから支払われることと、休業している間も社会保険の支払い義務はあることです。
時間外労働の制限
家族の介護が必要な従業員から申請があった場合、所定外労働・時間外労働・深夜労働について一定期間させることができません。
しかし、事業所が人材不足で難しいと判断した場合などは、これに従わなくてもいいとされています。
そのため、会社の状況や周りの環境を見極めてから、相談した方が良さそうです。
まとめ
国全体の問題ともされている介護ですが、菅政権も政策を進めてくれています。
しかしながら、介護にあたっている家族から考えると、働いている会社に申請がしにくい・一向に何も良くならないなど感じている人が大部分です。
働き手を失わないようにするために、会社も厳しいと思いますが、もっと介護との両立への理解を深める時代がきているといえるでしょう。
今後は、任意ではなく義務としてこのような制度が確立していけば、もっと状況もよくなるのではないかと考えます。