重度訪問介護とは、65歳以上の高齢者を対象にした介護保険による訪問介護とは異なり、障害者向けのサービスとなります。
介護保険による訪問介護は、1日午前・午後・夜間など数回に分けて受けることができますが、1回あたりの訪問時間は長くても2時間程度となってしまいます。
一方で、重度訪問介護では、最大24時間の訪問介護を受けることができます。
今回は、重度訪問介護とはどんなサービスなのか・利用条件や介護保険を使っている方も併用できるかどうかなどを、わかりやすく説明していきたいと思います。
1. 重度訪問介護とは
重度訪問介護とは、障害者福祉により提供されているサービスになります。そのため、介護保険によるサービスとは別物になります。
重度の肢体不自由または知的・精神障害のため、常時介護が必要な方のためのサービスが、重度訪問介護となります。
重度訪問介護は最大24時間介護も可能
介護保険による訪問介護は、1日2〜3回訪問してもらうことは可能ですが、 1回あたりの訪問時間は、1〜2時間程度となります。
しかし、寝たきりの場合や、経管栄養などを行っている場合、1日数時間の訪問介護では生活していくことができません。
重度訪問介護は、知的障害などのある方向けのサービスですが、寝たきりなど要介護段階が上がると、障害者認定をうけることができます。
重度訪問介護では、 1時間未満から最大24時間まで利用することが可能です。24時間介護の場合は、8時間おきにヘルパーの交代などがあります。
2. 重度訪問介護の利用条件とは
障害者区分4以上であることが必須
重度訪問介護の利用条件は、障害者支援区分が区分4以上でないと受けることができません。
さらに、次の例の1か2のどちらかに当てはまる場合に、重度訪問介護を受けることができます。
1. 二肢以上に麻痺等があり、「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「支援が不要」以外と認定されていること
2. 障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目12項目の程度を0点〜3点まで点数化し、合計点数が10点以上あること
【行動関連項目】
・コミュニケーション
・説明の理解
・大声・奇声を出す
・異食行動
・多動・行動停止
・不安定な行動
・自らを傷つける行為
・他人を傷つける行為
・不適切な行為
・突発的な行動
・過食・反すう等
・医師意見書によるてんかん発作の頻度
3. 重度訪問介護の利用料金とは
重度訪問介護は、1時間未満から最大24時間まで利用することが可能です。
1回の利用料金は1時間未満で1,840円、最大24時間利用した場合は34,960円ほどになります。実際の支払いは、 1割負担だと1時間未満で184円、24時間では、約3,496円が利用者の自己負担となります。
他にも、痰の吸引や緊急・夜間対応などで加算などがあります。
4. 重度訪問介護は介護保険と併用できる?
重度訪問介護は、障害者福祉によるサービスのため、介護保険と異なり、65歳以上などの年齢制限もありません。そのため、生まれつき障害を持っている方や、若くして事故や病気で介護が必要となった方でも受けることができます。
介護保険を利用している高齢の要介護者は、基本的には、ケアプランにより介護保険サービスを複数組み合わせて行います。
しかし、寝たきりや重度な介護が必要となり、介護保険サービスのみでは補助することが難しいと判断された場合には、重度訪問介護を利用することができます。
判断は、市区町村により行われる
介護保険を利用している方は、法律上、原則介護保険サービスを組み合わせて行う必要があります。しかし、本人の状態が重度の介護状態となった場合には、障害者認定を受けて、重度訪問介護を受けることが可能とお伝えしました。
重度訪問介護をうけるためには、ケアマネージャーによりケアプランを作成してもらい、介護保険サービスでは介護が不足してしまうことをしっかり記載してもらいます。その際に、介護保険の上限まで利用しても、本人の必要介護が足りないことも明白でなくてはいけません。
さらにケアマネージャーに申立書を書いてもらい、ケアプランを基に、市区町村が必要性を可否して、認められた場合に限りサービスを受けることができます。
まとめ
従来、重度訪問介護サービスは、障害を持っている方のためのサービスになります。高齢化社会がすすみ、在宅介護が増えるにつれて、介護保険サービスからの切り替えや併用の増加も見込まれます。
そのため、重度訪問介護と介護保険の併用は、必要性が認められたときのみ行うことができるのです。
一方で、独り暮らしの在宅介護の場合、介護度が上がり、寝たきりになると、介護保険サービスのみでのサポートは難しくなります。
ケアプランを立ててもらうときには、ケアマネージャーとよく相談の上、障害者サービスの併用や重度訪問介護も知っておくことが大切です。