「今日は風邪ですか?」「血圧はどうですか」など、なぜ病院で話したことを薬局でまた聞かれなければいけないんだと思ったこともあるかもしれません。
薬局では、服薬指導とよばれる患者様に合った薬を適正使用してもらうために情報提供を行う義務があります。そのため、患者様の今の状態を確認する必要があるのです。
一方で、面倒だなと思われる服薬指導ですが、患者様にもメリットがあります。状態を詳しく話すことで、薬の量や用法はその人に合っているのか、生活習慣に原因はないのかなどを客観的に判断し、悩みの解決に繋げられることもあります。
今回は、服薬指導とその流れ、服薬指導の活用法について薬局薬剤師が説明したいと思います。
記事を読んでもらえたら、次に薬局に行く時には、今までとは違った視点から服薬指導を受けることができるようになるかと思います。
1. 服薬指導とは
服薬指導とは
服薬指導とは、医師からの処方箋を元に調剤したあと、薬剤師が患者様に薬の効果や効能、飲み方などの情報提供することをいいます。
1つの薬には、さまざまな効果効能があるので、患者様に合わせた説明を服薬指導で行います。そのため、一般的な知識だけでなく、より専門的な指導を受けることができる機会です。薬に対して気になることがあれば、服薬指導のときに聞いてみましょう。
服薬指導は一般薬でも
病院には行かずに、薬局で頭痛薬や胃腸薬を買ったことがある人も多いと思います。商品名が決まっていれば良いのですが、何にしようか迷った時、薬剤師に相談して決める人もいますね。
特にロキソニンなどの第一類医薬品を売るときは、服薬指導が義務付けられています。薬の正しい用法用量だけでなく、その方に相応しい薬かどうか、話をしながら判断しています。
2. 服薬指導の流れとは?
医師の処方箋に沿って調剤する薬局薬剤師は、処方箋と患者様の年齢、性別、お薬手帳をみながら、飲み合わせや適量かを判断します。
薬をチェックし終えたら、服薬指導になります。
服薬指導では、いろいろなことを伺うこともあります。
・今日はどうされましたか?
・血圧はどうですか?
・血液検査は受けていますか?
患者様にとっては、医師に確認してるから再確認されて不愉快だと思われる方も多いかもしれません。しかし、薬剤師の多くは、この服薬指導から、薬が適正に処方されているか、その人に合ったものが出ているのかを客観視して確認しているのです。
薬によっては、肝臓などに負担がかかるため、定期的な血液検査が必要と決められているものもあります。他にも、抗生物質だけの処方の場合には、量や種類、日数なども症状によって使い方がさまざまです。
服薬指導が終わると、薬歴に患者様の薬の使用状況などを記録します。服薬指導で疑問に思うことがあると、医師に連絡をして確認することもあります。
3. 服薬指導で患者側が聞くべき内容とは?
服薬指導を受ける時には、医師に聞けないもしくは、聞き忘れたことを積極的に聞いてみましょう。たとえば、以下のような疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。
・こんなに薬を飲んでいていいのか?
・この薬の効果は?
・実は一緒に飲んでいる薬がある…
・薬を飲んでいるのに数値が下がらない
・最近体調がおかしいけど、副作用か?
基本的に処方薬は、必要最低限の薬が出ています。しかし、薬の効果や持続する必要性を理解していないと、飲み間違いなどにもつながります。
例えば、血栓予防の薬が出ている場合には、心筋梗塞や脳梗塞を起こさないような予防としてでています。
昔の薬は飲み忘れても数日効果が続きましたが、薬によっては、出血の副作用を防ぐために効果時間が短くなり、飲まなければ、リスクが高くなります。
他にも、飲んでいるのに数値が下がらない場合には、生活習慣を具体的に見直す必要があるかもしれません。
服薬に疑問がある場合には、薬局で確認してもらうことで、悩みの解決にもつながります。
4. オンライン服薬指導とは
オンライン服薬指導とは
2020年9月1日から認められた一般的なオンライン服薬指導とは、遠く離れた場所でも、テレビ電話などの通信機器を使って、薬剤師から患者様に情報提供ができるようになりました。
そのため、医療体制の整っていない地域の方や、家から外出することのできない状態の方でも、オンライン診療や服薬指導を利用することができるようになりました。
オンライン服薬指導のやり方
オンライン服薬指導は、オンライン診療もしくは、在宅・訪問診療を受けた方が対象となります。
また、医療体制の整っていない地域以外の場合は、服薬指導を受けたことのある薬局から、同じ薬もしくは、似ている効果のある薬のみ受けることができます。
やり方は、顔や動きを認識できるテレビ電話やスマホアプリなどを利用して行われます。
医療体制の整っている地域ならば、薬剤師が訪問して服薬指導をする方法もあります。訪問して服薬指導する場合には、訪問診療だけでなく、大学病院や町医者の院外処方箋でも行うことができます。→詳しい記事はこちらから
コロナ対応のオンライン服薬指導とは
現在では、一般的なオンライン服薬指導とは別に、コロナ対応のオンライン服薬指導も認められています。
こちらは、完全なる特例措置となっており、環境が整っていれば、すべての病院や薬局でオンライン診療を行うことができます。
また、服薬指導も電話やファックスなどの情報が確認できる状態であれば、顔や動きの確認もありません。
流れとしては、オンライン診療を病院で受けたあとに、指定した薬局からオンライン服薬指導を受けるという流れになります。処方箋のやりとりは、医療機関が連携して行うので、患者様の手元には医師の処方した薬が届く形になっています。
まとめ
服薬指導は、面倒なので、すぐに終わらせてしまう患者様も多いかもしれません。しかし、疑問に思うことは、服薬指導でたくさんのことが解決できるといえます。
在宅を行なっている薬局ならば、チューブの発注や疑問・悩みなども相談に乗ってくれます。他にも、薬以外の生活習慣の改善についても、相談になることもできます。
病院では聞きそびれたこと、聞けなかったことがあれば、家に悩みを持ち帰らずに、服薬指導を活用してみてください。