大きな病院だと、ヘルパーさんやご家族に付き添ってもらって診察に行くだけでも、数時間かかることもよくあります。
また、訪問診療してくれる先生から処方箋がでたときに、薬局にいくのは難しいことが多いです。そんなときには、介護保険が利用できる薬剤師訪問サービスが便利です。
今回は、薬剤師が家に来てくれる訪問サービスの内容・料金・メリットについて、実際に薬剤師訪問サービスをしていた経験をもとに、ご説明したいと思います。
処方箋の薬をヘルパーさんやご家族に頼んでいる方や、大きな病院の前の薬局で長時間薬を待っている方などには、とてもおすすめのサービスとなります。
1. 薬剤師訪問サービスとは?
薬剤師訪問サービスとは、足が悪い方や薬局に薬を取りに行くことができない方が、介護保険や医療保険を使って受けられるサービスです。
薬剤師が自宅に訪問することにより、ヘルパーさんの同行時間の短縮や、ご家族が薬局に立ち寄らなければいけない手間がなくなります。
2. どんな人が利用できるのか?
訪問サービスを利用できる条件は、「通院が困難で、医師が必要と認めた患者」となります。
介護保険は、持っていても持っていなくてもサービスを受けることができます。
また、勘違いされやすいですが、訪問診療をしてもらった処方箋だけではなく、町医者や大学病院などの院外処方箋についても使えるサービスとなります。
3. 薬剤師訪問サービスの料金は?
薬剤師訪問サービスは、使う保険によって名称が異なります。
介護保険を利用する場合には、「居宅療養管理指導」と呼ばれます。1割負担の場合は、自己負担として、 344円~507円+薬代が発生します。
これは、毎月の介護保険支給限度額には影響しない別枠として捉えられています。
介護保険を持っていない方は、医療保険を利用します。その場合は、「在宅患者訪問薬剤管理指導」と呼ばれます。1割負担の場合で、自己負担金額は、 290円~650円+薬代となります。
薬局にヘルパー同行してもらう時間や、家族に交通機関を使って取りに行ってもらうことを考えると、かなりお得と言えます。
4. 薬剤師訪問サービスのメリットは?
薬剤師訪問サービスは、まだあまり知られていないサービスですが、さまざまなメリットがあります。
私も認知症から難病で在宅介護を受けている方まで、幅広く薬剤師訪問サービスを行っていました。そのときに、メリットがたくさんあったので、ご紹介したいと思います。
残っている薬を整理できる
薬剤師訪問サービスは、訪問したあと、処方医に患者様の状態を報告することになっています。
薬剤師が自宅に訪問して、薬が残っていた場合には、医師に報告して次回処方日数を減らしてもらうなど、残薬整理を行うことができます。
これだけでも、減らした薬分だけお会計も安くなるので、お得と言えます。
カレンダーなど薬の管理ができる
薬剤師が自宅に訪問したときに、薬をカレンダーにいれたりすることもできます。ほかにも、一包化といって、薬を朝食後などの服用時点ごとにパックをして持っていくこともできます。
また来た時に、残った薬はないかなど確認するので、その方に合った薬の管理方法を提案したりもします。
本人が薬の必要性を知ることができる
多くの認知症の方や、高齢者の方は、薬を飲みたくない・飲まないなど、服薬拒否になりがちです。特に、家族の方からうながすと、頑なに飲まなくなる傾向にあります。
薬のプロと呼ばれる薬剤師から、なぜ薬を飲まなければいけないのかなどを直接本人に伝えることができるので、本人も今以上に必要性を知ることができます。
副作用のチェックができる
医師は診察時間も限られているため、なかなか話ができずに終わってしまうこともあります。
実際過去に、大きな病院からの処方箋で薬剤師訪問サービスをしていたときに、睡眠薬を飲み始めてからふらつきが強くなったという方もいらっしゃいました。これは、本人はあまり認識されてなかったのですが、話しているうちにそういえば…という感じで教えてくれました。
薬剤師訪問サービスは、訪問したあとに医師に報告して、残薬や薬の効果・副作用のフィードバックを行います。
その方も睡眠薬は、半分ずつ飲むことになり、ふらつきも改善されていきました。
飲みやすい薬を選ぶこともできる
カプセルが飲みにくい、錠剤が大きすぎるなど、高齢になると唾液が少なくなるので薬を飲むときのトラブルも多くなります。
同じ薬でも、粉やラムネのように口の中でとける口腔内崩壊錠、ゼリーなど様々な種類があったりもします。
飲みにくい薬がある場合には、薬剤師が医師と相談して、剤形を変えることもできます。
5. 薬剤師訪問サービスの流れは?
薬剤師訪問サービスは、すべての薬局が行っているわけではありません。しかし、大きい病院の前の薬局などは、やっている可能性が高いです。
まずは電話をしてみましょう
まずは、お願いしたい薬局に電話をして、薬剤師訪問サービスを受けたい事を伝えてみましょう。
医師に診察時に伝えましょう
薬局が具体的に決まったら、診察の時に薬剤師訪問サービスを使うことを伝えましょう。薬剤師訪問サービスでは、薬剤師が医師と連携しながら患者様を見守るサービスとなります。
薬剤師が家に来る具体的な流れとは
具体的な流れとしては、処方箋をもらったあとに、薬局にファックスしてもらいます。【大きな病院だと、病院内の会計近くにファックスも置いてあったりします】
薬局に電話をして、ファックスをした旨と、薬剤師訪問サービスを受けたいことを伝えるとスムーズです。
薬が用意し終わった後に、薬剤師が自宅へ訪問し、薬の説明や残薬確認、お薬カレンダーなどの配薬をしてくれます。
最後に処方箋の原本とお支払いをして終了となります。
まとめ・体験談
遠距離介護や在宅介護をしているご家族は、介護保険が使えるサービスをもっと活用することで、さまざまな負担を減らすことができます。
本人が服薬拒否をする場合や、薬局での待ち時間が長い場合などは、薬剤師訪問サービスがとても便利です。
薬剤師訪問サービスを行っていた時には、ケアマネージャーに協力してもらい、一冊の介護ノートを作っていました。訪問した時に薬剤師からみた問題点や改善点を記載して、交換ノートのようにヘルパー・ケアマネージャーにも、本人の様子や心配事などを記載してもらっていました。
これはケアマネージャーの協力もあり実現した一例ですが、薬剤師訪問サービスは、薬を届けるだけのデリバリーとは違います。本人に向き合って説明や管理もしてくれるプロのサービスになりますので、ぜひ参考になれば嬉しいです。