排泄介助は、介護をする側にとっても、される側にとっても、肉体的・精神的に大きな負担になります。
また、排泄介助は非常にデリケートな問題なので、やり方を間違えると本人の心を深く傷つけてしまい、今後の介護がやりにくくなってしまう可能性があります。
今回は、排泄介助をするときの注意点を説明していきたいと思います。また、最近ではオムツをなるべく使用しない自立排泄の大切さが見直されています。
自立排泄の方法や道具・介護の状態別にどんな排泄方法が良いのかについても説明したいと思います。
1. 排泄介助を受ける側の気持ちとは
介護状態が進むにつれて、自分でトイレに行けていた方が、介助をしながら排泄をしなければいけなくなってしまいます。
排泄は、とてもプライベートな行為なので、本人の羞恥心を配慮しながらケアをする必要があります。
2. 排泄介助は、尊厳を守ることが大切
自尊心を尊重してあげる
排泄介助を行う上で、最も大切なことが、本人の自尊心を尊重してあげることです。
排泄は、とてもデリケートな行為であり、失敗したり、時間がかかったとしても根気よく見守ってあげる必要があります。
自尊心を傷つけるような言葉を発したりすると、排泄を拒んだり、介護がうまくいかない原因にもつながります。
介助する側もとても大変な行為ですが、介護されている側の気持ちを汲み取ることが大切です。
急かしたりしない
時間がない時などは、急かしたりしてしまいがちです。しかし、筋力も減ってきており排泄にも体力を必要とします。
排泄介助のときは、急かしたりせず、一呼吸おいてから、声をかけてあげましょう。
水分補給を減らさない
介護されている側に多い、いわゆるトイレ問題というものになります。排泄介助を受けたくない・回数を減らしたいと思うあまり、日中の水分摂取を自ら減らしてしまう高齢者も多くいらっしゃいます。
必要な部分だけ手助けする
排泄には、全てにおいて時間がかかったり不安定な部分もあるので全てを介助してあげたくなってしまうと思います。
しかし、本人はできる限り自立して排泄を行おうとしていることを忘れてはいけません。
自分でできるところは、近くで見守ってあげたり、本人とどこまで介助すれば良いのか話し合っておくことも大切です。
目線に気をつける
排泄しているときには、自尊心を傷つけないように目線や言葉にも気を遣ってあげましょう。
3. おむつに頼らない自力排泄の大切さ
トイレに自力でいくことが難しくなると、在宅介護ではおむつへの導入を検討してしまいがちです。
しかし、排泄を自分でできなくなると、自尊心が傷つき、生きる活力を失ってしまったり、脱力感を感じてしまうきっかけにもなります。
夜間は、紙おむつをしていたとしても、日中はできる限りトイレやポータブルトイレでの排泄を試みてみることが大切です。自力で排泄できることで、本人の大きな自信にもつながるといえます。
オムツの前に、短距離であれば自力で移動できる方や尿意がある方は、ポータブルトイレの導入もぜひ検討してみてください。
4. 排泄方法の道具と種類
トイレ
自宅にある備え付けのトイレでの排泄ができれば、手すりなどをつけることで転倒防止にもつながります。和式は、立ち上がりや姿勢を保つのに筋力が必要となるので、洋式が好ましいです。
ポータブルトイレ
トイレまで自力でいくことが難しかったり、夜間頻尿などのためにベッドサイドにトイレを置く必要のある方などが使う移動式簡易トイレのことです。
最近では、お手入れが簡単な水洗式やラップ式などの高機能ポータブルトイレも発売されています。
くわしくは、✳︎ ︎こちらの記事を参考にされてみてください。
便器・尿器
便意や尿意はあるけれども、ベッドから起き上がることが困難な場合に使用します。便器は、受け皿のようになっており、腰を浮かせることができれば寝たまま下に引くことで排便をキャッチすることができます。
尿器は、男性用・女性用で形が異なります。
オムツ
尿意や便意がない方、意思表示が難しい方、寝たきりの方にはオムツがおすすめです。オムツには、布製と使い捨ての紙オムツがあります。
日中はポータブルトイレで、夜間はオムツにするなど、使い分ける方もいらっしゃいます。
オムツ選びの基礎知識は、こちらを参考にされてみてください。
5. 介護別の適切な排泄方法とは
自力で歩く・立ち上がりが可能
自力で歩くことができ、ベッドからの立ち上がりもできるときは、なるべくトイレの利用がおすすめです。トイレに行くのも運動になるので、運動不足の解消にもつながります。
ベッドから起き上がれる
ベッドから起き上がれて、尿意・便意がある場合には、ポータブルトイレがおすすめです。ポータブルトイレの中でも、座面を変えることができるものを選び、ベッドと同じ高さにしておくことで、移動も楽になります。
姿勢を変えることができる
姿勢を変えることができるのであれば、便器・尿器の利用もできます。自分で容器を当てることで、自尊心を傷つけずに排泄をすることができます。
寝たきり
寝たきりでも尿意や便意を伝えられる人なら、便器・尿器が利用できます。しかし、意思疎通が困難であったり、尿意などがない人は、オムツの使用になります。
オムツは、正しく使用しないと、褥瘡という床ずれの原因にもなります。交換頻度と使用方法に気をつける必要があります。
まとめ
排泄ケアは、介護をする側もされる側もおおきな精神的負担になります。一昔前までは、オムツをすることが主流になっていましたが、最近では、自分の意思で自立排泄をする大切さが見直されています。
介助をする側はとても大変なことですが、日中はオムツに頼らずできる限りトイレや道具を用いて自立排泄を試みることで、本人の生きる自信や自尊心の尊重につながるといえます。