湯船に浸かると、心筋梗塞などで亡くなるから、高齢者のお風呂は危険と考える方も多いかと思います。
しかし、お風呂には、さまざまな効果があり、将来の介護リスクを下げることも期待されています。
今回は、高齢者の入浴効果とリスクについて説明したいと思います。また、理想的なお風呂の入り方もご紹介しますので、参考になればと思います。
目次
1. 週7日の入浴で、介護リスク激減
千葉大学の研究によると、週7回以上入浴している高齢者は、週2回以下しか入浴しない高齢者に比べて、要介護認定リスクが約3割も減ることが発表されました。
これは、長寿大国日本が、海外と比べてお風呂への意識が高く、入浴習慣が健康に関係しているのではないかと考えたのがきっかけでした。
2. 高齢者の入浴による効果
週7回以上の入浴が、要介護認定リスクを減らしたのは、お風呂にどんな効果があったからと考えられるでしょうか。
リラックス効果
お風呂によるリラックス効果で、認知機能の低下が予防できる可能性があります。
体温の上昇
体温が上がることにより、免疫機能が高まりやすくなります。抗炎症作用や、細胞の保護効果も期待できます。
運動効果
入浴をすることや、熱刺激が、運動トレーニングのような働きをしてくれます。
良い睡眠につながる
お風呂に入り、リラックスしたり発汗することで、副交感神経優位となり、良い睡眠をとりやすくなります。
3. 高齢者の入浴に潜むリスク
自宅での溺死の90%が、65歳以上の高齢者となっています。溺死のほとんどの原因は、入浴中の意識障害となっています。
高齢者の入浴に潜むリスクは、どんなものがあるのでしょうか。
脳梗塞など虚血性発作のリスク
お風呂に入ることにより、血圧が大幅に低下します。そのため、心臓や脳に流れる血液循環が悪くなり、虚血性発作がおきやすくなります。
特に、熱いお風呂にはいってしまうと、脱水や汗をかくことにより、血栓ができやすくなるので注意が必要です。
入浴時間は、 39〜40度のお風呂に10分間はいるのが、理想とされています。
睡眠薬・安定剤の服用後
睡眠薬や、安定剤の服用をした後は、脳の伝達がゆっくりとなっているため、意識がはっきりしないこともあります。
また、転倒しやすくなることも考えられますので、リスクが高いといえます。
飲酒は危険
お酒を飲んだ後の入浴は、とても危険です。心臓に負担となるだけでなく、血圧も安定しません。
お風呂に入るときは、なるべく飲酒から時間をあけるか、飲酒前に入るようにしましょう。
浴槽から出るとき
浴槽から立ち上がるときは、起立性低血圧がおこったり、滑りやすいなど危険です。
できるだけお風呂の手すりなどにつかまりながら、ゆっくりと動くようにしましょう。
4. 理想的な入浴方法をチェック
高齢者になると、温度を感じる知覚神経が麻痺してきて、熱いお湯を好むようになります。しかし、あまり熱いお湯は、体への負担となるため、注意が必要です。
入浴温度・時間
理想的な入浴温度は、39〜41度とされています。また、理想的な入浴時間は、10分以内といわれています。
脱衣所の温度管理
特に、夏場や冬場は、脱衣所と入浴温度に大きな差が出ないように気をつける必要があります。寒い地域では、脱衣所に暖房をつけるなど、温度管理に注意しましょう。
お湯は浅めに
溺水のおそれがあるため、お湯は、浅めにはるようにしましょう。半身浴が理想で、手すりなどにつかまりながら入浴するのが大切です。
飲酒・食後は避ける
血圧の変動がでやすい飲酒・食後は避けて入浴しましょう。
水分補給を忘れずに
入浴後は、脱水により体の水分が減っています。特にお風呂を上がった後には、水分補給をしてから寝るようにした方が安全です。
声かけをする
家族などが共に住んでいる場合は、今からお風呂に入ってくることを伝えておきましょう。あまりに長いと様子を見てもらえますので、声かけど見守りをお願いしましょう。
16時から19時がゴールデンタイム
体温があがり、血圧が安定すると言われている時間が、夕方16時から食事前の19時位です。この時間帯は、入浴に適したゴールデンタイムになります。
まとめ
お風呂には、思わぬリスクがたくさん隠れています。自分は大丈夫と思っていても、いつ誰しもが起こる確率のあるのが、入浴事故です。
血圧の変動や、温度管理に注意をして入浴時間を楽しんでいくことが大切です。