高齢になると、「思い出したくても言葉がでてこない・物忘れがひどくなってしまった」など感じる方も多いと思います。
周りにいるご家族も、物忘れが多くなった姿を見ると、認知症になってしまったのではないかと心配になってしまいますよね。
今回は、高齢者のモノ忘れと認知症の違いについて不安な方にも、チェックリストなどを用いて、わかりやすく説明したいと思います。
1. 年齢が原因の物忘れの特徴とは?
高齢になると、脳の機能が徐々に低下することで、物忘れが多くなるのは自然なことになります。また、この物忘れは、認知症とは異なります。
記憶を再生することが難しくなるのは老化の物忘れ
「鍵をどこにしまったか探してしまう」「明日だと思っていた予定が今日だった」などの覚えていた記憶を再生する時(思い出す時)に勘違いしてしまったり、忘れてしまうことは、老化による物忘れになります。
行動自体は覚えているけど内容を忘れる
ご飯を食べたことは覚えているけれども、何を食べたか忘れてしまうなどは、年齢による物忘れです。ご飯を食べたという行動は覚えているけれども、内容を忘れてしまうのは、老化によるものに当てはまります。
物忘れの自覚がある
自分が物忘れをしている、ボケてきているなど自覚がある状態です。
日常生活に支障がない
物忘れをするけれども、部分的なもので行動自体を忘れていないため、日常生活には支障がない状態です。
2. 認知症が原因の物忘れの特徴とは?
行動自体を忘れてしまう
「お財布をどこにしまったか忘れた」ではなく、「お財布をしまったことを忘れてしまう」という行動自体を忘れてしまうのが認知症特徴です。
何度も同じことを聞く
ご飯を食べたのにも関わらず、すぐにまたご飯を食べようとするなど何度も同じことを聞くと認知症の可能性があります。本人は、食べたという行動自体を忘れてしまっているので、同じことを聞いているつもりはありません。
昔のことはよく覚えている
記憶をする機能が、認知症により働かなくなっているため、直近の記憶は思い出すことが難しくなっています。
逆に昔の記憶は、鮮明に覚えており、時間軸がずれているので現在起きているかのように話すこともあります。
物忘れの自覚がない
自分はボケていない、物忘れをしている自覚がない状態です。
日常生活に支障がある
家に帰る道を忘れてしまったり、リモコンの使い方を忘れてしまうなど、日常生活にも支障が出てきます。
3. 認知症のチェックリスト
認知症については、自宅で簡単にチェックを行うこともできます。完全な診断にはなりませんが、可能性を探ることができます。
認知症のチェックリスト
東京都福祉保健局による認知症のチェックリストもあります。普段の行動を0〜4点まで点数化し、合計点が20点以上になった場合には、認知症の可能性があります。
長谷川式認知症スケール
1977年から現在まで、最もポピュラーに使われている認知症のテストになります。
・年齢(受検者の年齢を問う)
・日時の見当識(今日が何年、何月、何日か)
・場所の見当識(今現在の場所がどこなのか)
・3つの言葉の記銘(3つの単語、桜・猫・電車(または梅・犬・自動車)を順番に暗記してもらう)
・計算問題(数字を使った計算)
・数字の逆唱(提示する3ケタの数字を逆から読んでもらう。正解したら次は4ケタで)
・3つの言葉の遅延再生(暗記した単語を復唱してもらう)
・5つの物品記銘(5つのアイテム(タバコ、ペン、腕時計など)を順番に見せ、後で何があったか)
・言葉の流暢性(野菜の名前などをできるだけ多く答えてもらう)
9種類の項目を総合評価して、認知症の可能性を探ります。正しく答えられたら1点、間違いもしくは答えられなければ0点となります。採点の結果、30点満点20点以下だった場合には、認知症の可能性が高くなります。
まとめ
歳をとるにつれて、言いたい言葉が出なくなったり、勘違いや物忘れの頻度が高くなると、認知症の不安が横切るかと思います。
ご自分や家族の物忘れの状態が、認知症なのか加齢によるものなのかを、しっかり見分けることで、認知症の早期発見につながるといえます。