デイサービスは、レクリエーションや食事、入浴をするだけでなく、他の人と関わり合いを通じて、脳の刺激にも繋がります。
しかし、認知症をお持ちの方は、新しい環境を受け入れることが難しい方も多いです。そのため、デイサービスに行きたがらない・行っていたのに拒否してしまうというケースが見受けられます。
今回は、認知症の方が、デイサービスのような介護サービスを拒否してしまう心境を、解説したいと思います。理由は人それぞれかもしれませんが、認知症の方の気持ちを知るだけでも、解決策に繋がるかもしれないので、是非参考にしてみてください。
自宅介護と、デイサービスの外部サービスを上手く取り入れることで、介護している家族の負担軽減になるとともに、認知症ご本人の、世界が広がればと考えます。
目次
1. 認知症の方がデイサービスを拒否する理由
デイサービスを知らない、思い出せない
初めての方は、そもそもデイサービスを知らないかもしれません。認知症の方は、初めてすることなどに、とても抵抗感を感じてしまいます。
まずは、ご家族と一緒に体験や見学などを行うことも必要です。
また、通われている方でも、悪いことばかり覚えていたり、デイサービスの記憶があいまいなこともあります。
デイサービスで作った作品などを、家に飾り、
「これ素敵だね、デイサービスで作ったんだよね」など、前向きな声かけをしてあげるのも大切です。
外出や環境の変化を拒否してしまう
認知症の方は、そもそも自分のペースではない外出を拒むことがあります。
外出は一筋縄ではいかないので、他の利用者よりも時間がかかる可能性があります。
ヘルパーにも、連れ出しに時間がかかることを伝えておきます。出来るだけ本人のペースに合わせてあげると、送迎車にも乗ってくれることもあります。
デイサービスの必要性を感じない
認知症の方は、自覚があまりなく、説得したくてもあまり耳を傾けてくれません。
自分は、家にいるのが十分で、外に出る時間はないなど、思い込まれている方も多いです。
しかし、昔から長くやってきた仕事や、家事などは、はっきりと覚えています。
デイサービスの必要性を、うまく記憶にある昔の内容と結び付けて話すことで、理解してもらえたり、とたんに興味をもってくれたりもします。
他の人と関わりたくない
認知症の方は、徐々に、周りに合わせることが難しくなってきます。また、他の人と話しているときに、嫌な思いをすると、それだけ誇張されて覚えてしまうことさえもあります。
お昼ご飯を食べるペースでさえも、自分のペースになってしまいます。
本人が他の人と関わることや、ペースを合わせることが億劫に感じ取れるようでしたら、認知症対応のデイサービスに変更されてもいいかもしれません。
2. デイサービスの認知症への効果・メリット
認知症の方が、デイサービスに行くことで、さまざまなメリットや効果があります。
昼夜逆転の予防
認知症の方は、昼夜逆転しやすくなってしまいます。そのため、デイサービスに日中行くことで、身体の中の日内変動がうまく働きやすくなります。
注意点としては、睡眠導入剤などを前夜に飲んでいると、服用時間によっては、薬が体に残ってしまっています。デイサービスで寝てしまったりする原因にもなるので、気をつけましょう。
体を動かすことができる
家でずっと寝たきり、座りきりでいるだけでは、どんどん筋力が落ちてしまいます。
デイサービスに行くことで、普段よりも行動範囲が広がるので、体力を保つ効果もあります。
脳への刺激
他の人と関わったり、レクリエーションを行うことで、脳への刺激にもつながります。
また、家の外に出ることで、生活そのものに刺激が生まれ、メリハリもつきます。
3. 介護者が行うべきこと
認知症の人は、周囲の変化にとても敏感です。行きたくないのに無理に行かせようとしたり、施設での嫌な思い出などは、覚えていることも多いので注意が必要です。
本人が安心してデイサービスに行くために、介護者としてできることを、具体的に挙げてみます。
出かける時に行きやすく促す
認知症の方は、外出することや、他の人に合わせて時間通りに動くことが苦手です。
あらかじめ、ヘルパーに外出拒否の傾向があることを伝えておきましょう。
また、施設のスタッフの中でも、本人が話しやすい人の名前を伝えるのも効果的です。
「○○さんのいるところに行くんだよ」
と伝えるだけでも、どこにいくのか本人がわかるので安心してくれます。
デイサービスを変える
評判の良いデイサービスでも、スタッフや他の利用者と合わなかったり、アクティビティに興味をもてないこともあるかもしれません。
デイサービスで嫌な思いを重ねる前に、ケアマネージャーに相談し、サービス業者を変更することも検討してみましょう。
認知症に特化した認知症対応型通所介護というデイサービスもあります。通常の事業所よりも、ヘルパーが多く配置されており、レクリエーションも認知症向けのものとなっているのでオススメです。
家族が付き添う
場所に慣れるまでは、送迎車ではなく家族がお見送りをすることも可能です。
本人が、想像がつかない場所に、1人で行くのは不安が募ります。ご家族が付き添うことで、安心感にも繋がります。
デイサービスの時間を短くする
不安感が強い時期や、外出拒否の時期は、デイサービスの時間を短くすることも良いでしょう。無理をせずに、楽しんでもらうことが1番重要です。
まとめ
認知症の方の介護は、とても大変です。特に体の自由がきくと、思いもよらないことが毎日起こったりもします。
一方で、認知症の方は、思い通りに外出ができなかったり、やりたいことが出来なくなることで、ストレスを感じてしまいます。
デイサービスに行くことにより、レクリエーションなどで、自分でもできることがあったり、本人の喜びや自信にもつながるのです。
デイサービスをうまく取り入れて、家族も本人も心の健康を養ってください。