仕事と介護の両立を応援するブログ

これから介護世代が増える中、育児や仕事と両立していく子供世代も増加します。いまそのような状況になっている方・これから可能性のある方に向けて、介護とはどのようなことなのかをわかりやすくお伝えできればと思います。

高齢化の助けとなる?地域包括ケアシステムと期待できる効果は?

少子高齢化が進み、単身で住む高齢者が増えてきています。地域によって高齢者の悩みは様々で、冬には豪雪で雪下ろしが必要だったり、離島で医療・介護機関がない場合もあります。

そのため、国レベルだけで介護に取り組むのではなく、自治体が、地域の特徴・地域の力を使い、すべての高齢者へのサポートとして、地域包括ケアシステムが作られました。

地域包括ケアシステムがうまく運営されることで、高齢者が安心して、住み慣れた地域に長期的に住めることを目標としています。

今回は、地域包括ケアシステムの目的や特徴、どんな効果があるのかをわかりやすく説明したいと思います。

1. 地域包括ケアシステムの目的

高齢化の急速化

2025年には、団塊の世代、約800万人が、新たに75歳以上の高齢者になります。そのため、急激に進む少子高齢化を見越してできたのが、地域包括ケアシステムとなります。

また、親と子世帯が離れて暮らす単身高齢者も増えています。必要な時に、家族のサポートを受けることができない場合も多いため、地域の力が必要となっています。

地域包括ケアシステムの目的

地域包括ケアシステムの目的としては、高齢者が、いつまでも住み慣れた自宅で、安心して暮らせるような環境作りを目指しています。

地域によって高齢化の進み具合が違ったり、医療・介護環境も異なります。そのため、地域包括ケアシステムは、自治体がその地域の特徴・特性を生かして、独自に作り上げることが重要となっています。

国主体から自治体へ

今までは、介護について国が主体で動いていました。しかし、急速な高齢化に伴い、国が用意した従来の介護保険サービスでは、増え続ける高齢者を支えきれないといわれています。

そのため、これからの介護は、税金を使う介護保険サービスだけに留まらず、地域のネットワークを最大限に活用して高齢者を支えていく地域包括ケアシステムに期待されているのです。


2. 地域包括ケアシステムとは

地域包括ケアシステムとは、【住まい・医療・介護・予防・生活支援サービス】について、地域ネットワークを作り、高齢者が少しでも長く、住み慣れた自宅地域で、安心して過ごせるように体制を整えているものになります。

例えば、介護の主体となるケアマネージャーと、医療の主体となる医師・看護師など、多種職が連携することもネットワーク作りの1つです。ケアマネージャーや介護士が、本人の普段の生活から症状の変化を読み取り、医師に報告することで、症状悪化の早期発見・介護予防にもつながります。

地域包括ケアシステムでは、住民・介護事業者・医療機関・町内会・自治体・ボランティアなどが連携をとりながら、より住みやすい環境作りを目指しています。

3. 地域包括ケアシステムの効果

在宅介護がしやすくなる

今までの在宅介護では、介護サービスと医療サービスがそれぞれ独立しており、連携できていませんでした。

しかし、地域包括ケアシステムが機能することで、本人にとって必要な介護・医療ケアをスムーズに受けることができるようになります。

認知症でも安心して住める環境作り

地域包括ケアシステムでは、認知症の方への取り組みが、活発となっています。

現在では、認知症の正しい知識をもち、認知症本人や家族をできる範囲で支援する認知症サポーター】や、認知症を介護している家族などが集まれる認知症カフェ】が浸透しています。

また、2018年度から各地域で始まった認知症初期集中支援チーム」も、認知症の方のためのシステムになります。認知症の発症に気づけていない人や、初期の方で、医療ケア・介護ケアを受けれていない人について、適切なサービスを導き助けるチームとなっています。

認知症は増加している一方で、身体は元気で、トイレの介助などの日常生活の介護が必要としない方も多いです。地域のサポートがうまく機能することで、施設だけではなく、認知症の方も安心して自宅で過ごすことができるといえます。

高齢者の社会交流につながる

高齢者になるにつれて、外出頻度や家族以外との交流も減ってしまう傾向にあります。特に、今まで仕事をしていた方は、仕事中心の生活から地域生活へと切り替えていく必要があります。

地域包括ケアシステムでは、介護予防の教室やイベント、老人会への参加などがあります。高齢者が地域参加することで、【生きがい・働きがい・世話しがい・学びがい】などにもつながり、充実した生活を送ることができます。

生活に必要な細かいサービスを受けられる

高齢者のケアというと、入浴やトイレなどの介護ケアばかり考えられがちですが、日常的に必要とされているケアには様々ものがあります。

各地域では、サポートすれば、自立して生活ができる方がとても多くなっています。そのため、日常生活に必要な買い物や調理、掃除、ゴミ出しなどの体力が必要な生活のサポートや見守りなど、それぞれの方にあった柔軟なサービスが受けやすくなっています。

4. 地域包括支援センターとは

地域包括ケアシステムの中核といってもいいのが、地域包括支援センターです。
地域包括支援センターには、ケアマネジャー・保健師社会福祉士が在籍していて、高齢者の総合相談窓口の役割を担っています。

例えば、要支援認定された方には、介護予防ケアプランを作成し、介護度が上がるのを防止します。ほかにも、高齢者の詐欺や虐待の予防・対応や、ケアマネージャーの育成にも取り組んでいます。

くわしくは、こちらの地域包括ケアシステムの記事を参考にしてみてください。

5. 地域包括ケアシステムの事例

離島など医療・介護が浸透していない場合

熊本県上天草市では、介護サービスを充実させるためにヘルパーの養成を行なったり、自宅へ緊急通報システムを導入することで、在宅介護の環境を整えています。

山口県萩市の事例

山口県萩市では、【平成26年厚生労働省による健康寿命を伸ばそうアワードにおいて、最優秀賞】を獲得しています。

具体的な取り組みとしては、日常生活のちょっとした困りごとを住民が支援していく【むつみ愛サービス】があります。例えば、電球交換や雪かき・灯油入れや買い物代行・イベントの送迎などです。

他にも、世代間交流イベントなどが開催されています。

認知症強化型の事例

大阪市では、認知症強化型地域包括支援センターがあります。認知症に気づいていない方から認知症の発症に悩んでいる方まで、段階的に分けて支援していくのが、今後の課題としています。

現在は、認知症高齢者をサポートするための地域課題を共有しながら、認知症の啓発活動や講演会、相談会、住民意識調査など地域の特性を生かした活動を行なわれています。このような活動により、潜在的認知症がある方の、早めの対策につながるともいえます。


6. 地域包括ケアシステムの今後の課題

地域差がある

都心部のように、人口や若い人が多く財政が充実しているところと、過疎化の進んだ地方では、地域格差が生まれてしまう可能性があります。

2025年を目指してスタートしている事業なので、法の整備や進行具合の確認も必要です。


医療機関との連携を深める

医療機関と介護事業を連携することが、地域包括ケアシステムの運営には必要不可欠となります。

在宅医療に取り組む医療機関が増えることで、地域の連携がすすみやすくなります。

夜間の介護が難しい

日中の介護については、訪問介護やデイサービスなど介護サービスが充実してきました。しかし、単身高齢者にとっては、夜間の介護サービスを必要とする方も少なくありません。

夜間介護は、ニーズが高い一方で、介護業者にとっては、大きな負担になります。
しかし、夜間介護が可能となれば、在宅介護も増えるのではないかと考えられています。

地域包括ケアシステムが浸透していない

始まったばかりのシステムですので、とくに高齢者世代への浸透が少ないのも問題点です。

地域包括ケアシステムについての情報開示や、啓蒙活動も必要といえます。

まとめ

地域包括ケアシステムは、地域の特徴を生かして進められるプロジェクトになります。うまく運営できれば、住んでいる高齢者の大きな手助けになるともいえます。

特に、介護をそこまで必要としない自立した生活をしている高齢者の方は、地域包括ケアシステムを通じて社会交流することで、生きがいが増えて、生活にもハリができます。

地域格差はまだまだありますが、地域包括ケアシステムが浸透して、うまく軌道に乗ることを祈ります。