遠距離介護は、離れていればいるほど、交通費や移動時間が必要になります。そのため、帰省頻度が限られてしまい、本人の変化にも気づくのが遅れてしまいがちです。
今回は、離れて暮らす親を、呼び寄せ介護することで、どんなメリットやデメリットが発生するのかをお伝えしていきたいと思います。
また、呼び寄せ介護をする上で必要な事前準備についても、ご紹介していきたいと思います。
目次
1. 高齢者の親と子供の同居率
2015年内閣府の調査によると、 65歳以上の高齢者と子供が同居している家庭は、全国で約3割という結果が出ています。
また、65歳以上になっても、独居の世帯が約3割、夫婦のみの世帯もおおよそ3割となっています。
高齢者の親と子供の同居率は低く、やはり働き盛りの年代は、都心で働くために離れて暮らす傾向が強いことがわかります。
2. 呼び寄せ介護のメリット
変化にすぐ気づける
認知機能が低下した、転びやすくなったなど、離れているとすぐにはわからないことも、同居していると細かいことも気づくことができます。
病気の初期症状ということもあるので、早めに治療を開始できるというメリットもあります。
ケアマネージャーと相談しやすい
遠距離介護だと、ケアマネージャーに会うのも頻度が低くなりがちです。
呼び寄せ介護をすることで、ケアマネージャーと頻繁に交流することができるので、ケアプランの見直しや、介護サービスの利用についても気軽に見直しができます。
費用を抑えられる
遠距離介護では、交通費・移動時間がとても負担になります。
同居することで、交通費だけでなく、いずれは家の維持費も含めて、費用を抑えられるようになります。
社会や家族と関わり合える
独居の高齢者は、買い物はヘルパーに頼むなど、外にも出たがらない方が多くなります。
同居することで、毎日若い家族と話をすることができます。また、買い物などもたまに同行してもらうことで、外出のきっかけ作りにもなります。
3. 呼び寄せ介護のデメリット
住み慣れた環境から離れる
呼び寄せ介護の最大のデメリットは、本人が住み慣れた場所から離れることです。
小さい頃から同じ場所で育ってきた場合は、特にストレスになりやすいでしょう。
周りの景色・自分の家・ご近所付き合いなどから離れるため、慣れるまでには時間と労力がかかるかもしれません。
同居する家族のストレス
仕事や学校に行く時間に、細かいことを頼まれたり、話が始まってしまったり…
家族や独身で過ごしていた時間に、親が入ることで、生活サイクルが変わってしまうこともあります。
本人も離れた場所で、慣れようと努力していることを理解し、うまく同居できるように工夫することが大切です。
訪問介護などの介護サービスの利用
子供世代が同居していることで、受けられる介護サービスが限られてしまいます。
以前は、ほぼ毎日来てもらっていた訪問介護も、介護できる人がいるとみなされてしまうと受ける頻度が下がる可能性があります。
4. 呼び寄せ介護の注意点
親と家族の意思確認をしっかり
高齢になって、住み慣れた地域や家から離れるのはとてもストレスになります。また、自分の自由な時間や、食事の嗜好・友人やご近所から離れるのも、本人の大きな負担です。
呼び寄せ介護をするには、まず親の意思確認をしっかりとして、自分の家族にも納得してもらってから行うようにしましょう。
親の家はしばらくそのままに
呼び寄せ介護は、始めてみないとどんなことがおきるかわかりません。
不慣れな環境で、不眠になってしまうかもしれませんし、認知症の症状が悪化することも考えられます。
念のため、元の家の家財処分は急がず様子を見ましょう。
介護サービスの利用準備をぬかりなく
ケアマネージャーの手配や、デイサービスの施設など、呼び寄せ介護をする前の事前準備はしっかりと行いましょう。
まずは、自分の地域の包括ケアセンターに行き、今後呼び寄せ介護をする予定であることを伝えておくことが大切です。
できればその後、ケアマネージャーと面談をして、受けることのできる介護サービスについても話し合いをしておきましょう。
できることをさせてあげる
呼び寄せ介護を始めるのであれば、本人ができる範囲で、ゴミ集めや庭木の水やりなど仕事を分担しましょう。
「ここにいていいんだ、いる場所がある」と認識してもらうことが大切です。
受け入れる家族も、最初は不慣れで大変かもしれません。しかし、長い目で見ると機能訓練にもなるので、自分のできることをしてもらうことは、とても効果的です。
まとめ
呼び寄せ介護は、同居する家族と親がうまく生活できればメリットの大きいものになります。
最初は不慣れでとても大変かもしれませんが、介護度が進む前に行うことで、遠距離介護の負担を下げることもできます。
呼び寄せ介護をするには、事前準備が必要不可欠ですので、しっかり受け入れる体制を整えておきましょう。